桃太郎 | おひろのブログ・libe

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思い付くままに…

芥川龍之介「桃太郎」を聴く

むかしむかし大昔

或る深い山の奥に大きい桃の木が一本あった。

大きいとだけでは言い足りないかもしれない。   この桃の枝は雲の上にひろがり

この桃の根は大地の底の黄泉の国にさえ及んだ。

… … … 一万年に一度.花が咲き、一万年に一度.実


の様に物語は始まるが、八咫烏(ヤタガラス)が突付いて一つの実が落ち人間の住む山里の川に落ちて…

物語は皆が識るところの鬼退治から其後に至るまでなのだが

この「桃の木」の説明は一万年…の後に更に詳しい説明があり、このくだりが好き。

桃太郎の話も私たちの識るものとは、やや異なる。

最近、番組「スッキリ」内でのアイヌ民族に対しての差別発言、或いは他番組での部落民差別の経緯の紹介等々を目にしたばかりで勉強になったが 

この「桃太郎」を聴き重なる思いがあった。

善良に暮らしていた鬼たちの島に野盗の如く押し入り、多くの鬼を「退治」と称して命を奪い、生き残った鬼たちの宝物の全てを奪う。 先の差別問題と異なるのは、生き残りの鬼たちによる復讐がある事だ。

少女の頃から文学が好きで、中でも芥川龍之介は殊の外に好きだったけれど、「蜜柑」「あばばばば」に続く大好きな短編が増えた。