異なる価値観を調和させるのは容易ではありません。
なぜなら、異なる価値観は「対立」するからです。
ビジネスの場で、ある人が自分の価値観を表明したとき、
それはその価値観が他者に受容されることを求めます。
例えば、「わたしたちは最高の品質を目指すべきだ」という主張は、
他者に同意を求めているのです。
そのとき別の誰かが、
「わたしたちはもっと顧客ニーズに対して柔軟であるべきだ」と主張したなら、
そこに価値観の対立が顕在化します。
会議の場で、このような「そもそも論」の議論が起こり、
収拾がつかなくなる…。
なぜ、収拾がつかなくなるのかというと、それは「議論」をするからです。
議論とは、自分の主張の正当性を相手に納得させることを目的とするコミュニケーションです。
価値観に優劣はないため、議論を続ければ続けるほど、対立はエスカレートしてしまうのです。
「高品質」と「柔軟さ」は両立しうるものです。
調和を可能にするためには、
「これは自分の価値観」、
「それは相手の価値観」と分別して考えるのではなく、
「そこに2つの異なる価値観があるだけ」と思えることが必要です。
そうすれば、調和の可能性が見えてくるのです。
わたしたちはついつい自己中心で物事を考えがちですが、
その姿勢はアイデアの可能性を狭めてしまいます。
いかに自分も他者も客観視できるかが、
豊かな発想を引き出すために重要なのです。