もう10年くらい前だろうかインフルエンザに罹患した時である。

会社で午前中まで元気だったのに午後から、急激に寒気がし、体の節々が痛くなった。

「やられた…」

今週は重要な会議もあり、どうしようもないのに…


その頃の私は、仕事を抱え込み猛烈に仕事をすることに価値観を見出していた。

成果よりも頑張ることが大事と思っていた。


帰りのJRの中で立っていることが奇跡なくらいにきつかった。
熱は39度を超えていた。

翌日、よろめきながら病院へ歩いていき診察。

病院の先生からは『間違いなくインフルエンザA型です。』『こんな状況でよく歩いて病院にこれましたね。』あきれられていた。

家までの1キロメートルが遠かった…

家で布団にくるまって寝ていても寒い…


夕方、ガタガタ震えている私の隣の部屋から、家族がテレビを見ながら笑っている声がする。

その時「俺って、幸せだな。」という思いが込み上げてきた。

なぜか、わからない。そのように思った。




その時に「人生は意味づけである。」という言葉が頭に浮かんだ。

確かにそうだ。その通りだ。


恐らく私は、インフルエンザで限界ぎりぎりのときに「自分にやるべきことがある。守るべきものがある。」と意味づけしたんだと思った。


不思議なことに翌日、熱が37度代に下がっていた。

もう時効だから言えるが、1日だけ会社を休んで重要な会議があるので会議には出席した。

会議参加者に罹患者がでなかったからよかった。

「家族がテレビを見ながら笑っている声」に対し違う意味づけをしたら、きっと状況は変わっていたと思う。


人生は、事実に対する意味づけでいくらでも変わる。