23時の電話にあわてて出る。
”先ほどはすみません。 おれ、あんなこと言うべきじゃなかったと思って。 気にしないで下さいね。本当に”
と、外から電話をしているのか交差点の歩道の音がする。
”ううん、大丈夫ですよ”と答える自分の声が、眠たげに聞こえる。
”寝てましたか?”
”ええ、大丈夫です。”
”本当に、 あの気にしないで。 美山さんだから話しても大丈夫かと思って。 でもおれあんな事は言わないほうがいいですよね。 すみません”
何度も、同じ事をいう彼の声は少し焦っているのが伝わる。
”大丈夫。本当に。ありがとうございます。”
となりで寝ている息子が、起きてしまうからと私は声を静める。
”ほんと、すみません。じゃあ、また”
”はい、また”と携帯をきった。
彼の施術は少し不思議な感じだ。 私は色々な影響を受けやすい体質だと言う。
霊的にも敏感なはずらしい。
施術中にそんな話をしていて、彼が
”おれ、美山さんが心配ですよ。 まじで。こういう仕事って多かれ少なかれ人の気を受けるから”
と言う。
その日の夜に、かけてきたこの電話。
施術をする側とされる側で、特になんの関係もないのに、どことなく不器用なでもまじめな彼の存在は自分の
中でも心地よくなっている。
そばにいても苦にならない、心地いいのだ。
勝手な思い過ごしかもしれない。
でも、彼も似たような気持ちを持っている気がする
”もしもし、来週の予約お願いします”
2日後、私が電話をする
”あ、この間はすみません。”
次の予約は、夜9時。 いつもは昼間を指定する彼。 私も夜、最後のクライアントで会いたい。
繋がっているのか… 2つの心