甘い毒と苦い愛 -2ページ目

甘い毒と苦い愛

恋人のように何年たっても互いを思い合う結婚....何人の人しているだろう
結婚と恋、罪と本音… 

施術は、信頼関係が成り立たないと受ける側も、施術する側も効果を作り上げれないもの。

お客様に自分が施術をする際、必ず呼吸を合わせることから始める。


施術される側に慣れていない私は、いつも彼のクリニックではただ横になり、目をつむり、脱力したまま

何も考えない。


”この間、ほんとすみません。 おれ、余計な事言って”

と彼が言いだす。


私は答えを用意していたし、こう切り出す事も分かっていた。


”いいんです。 片切さんの事信頼しているし、好きだから別に気にはしていないから”


”えっ?” そう、きっとこの慌てた顔をするだろうと思った。 まじめな彼に対して少し私は意地悪だ。

軽く笑い声を彼は出す。


”え、  … じゃ横になって頂いて”


いつもの施術が始まる。


”どうですか、調子は”と彼。


”だいぶ、いいです。先週からしたら。 ただ、なんとなく内臓がいつも不安定というか、どことなく水っぽいし、

冷えるし、吐き気がするような気が残っていて、完全に元気ではない感じ”


黙って施術を続ける彼。


”気が本当に落ちているんですよ。 内臓は本当に弱いと思う”と彼。


静かな時間が過ぎてく。 暖かい部屋で、彼の手動きだけを感じて、ゆったりしていく。


”いつも思うけど、美山さんを施術しているとすごく感じるものがあって… まじ、ご自身でも気をつけて

気を整えて下さい。 おれ、心配っすよ”


”また、言ってる。先週も言ってましたよね? だからここに来ているの”


”あははは” 空っぽの笑い声は彼の特徴



頭に触れる手は暖かく、お腹の上に置かれた手もどんどん熱を発していく感じ。


静かだ



”てか、聞いていいすか? さっき…その好きって言うのはどんな意味で、ですかね”


やっぱり聞き流さないんだ。

黙っていてみよう。


”えっ?” 彼は若いし、きっと人と人とのかかわりも理想がある。 彼が思う事以外の的を外した対応には彼は慣れていない。


”人間としても、こういう仕事をする人としても、男性としても好きっていう意味… 好きに色々理由がいりますか? ただ、片切さんとの時間は私には心地いいの”


ただ、黙っている彼に、私は目も開けずにじっとしていた。



施術が一通り済むと体は脱力ととも重さも感じる。


”だるいですか? 大丈夫ですか?” いつも聞く彼。


”はい、はい。大丈夫です。 ありがとうございました” 施術台から降りて彼を初めて見た。


施術台を挟んで、静かに立ってこっちを見たり、見なかったりの彼。

私は気付いているのに、気付かないふり。


”4000円ですよね?”

と手渡す私の手を引きよせた。  やっぱり、そうだ。 彼も思いは同じだったんだ。


”おれも気になってて…” 


思っていたよりも、広い胸にあの香水の香りと強い腕。 強く抱き寄せられて、どこかホッとしている自分がいる。

そう、こうなることを望んでいたし、今はこうして委ねていたい…

理性とか本音とか… そんな事はどうでもよくて。 彼にただ抱きしめられたい。


首筋にキスしてくる。

さずがに、彼の目が見れない。 

黙って口元にも何度も何度もキスをする彼に、何年ぶりだろう…胸が苦しくなりながら、されるままになる自分


予約の時間が一番最後だったことも承知の上。 

こうなることも、予想していた通り。