親戚が猫を飼いだしたとき、子猫のうちに記念が欲しかったんだろう、フォトブックを写真屋さんで作ってもらったんだと。
遊びに行ったとき、「ほらこれ」と自慢気に見せてもらったそのフォトブックの写真が酷すぎて、思わず固まった。

えっと、写真は一応習った程度の素人が意見していいのかな…。
うーん、でもやっぱり写真は下手なままの自分にはなにも言う資格ないよな。

そう思ったので、ともかくフォトブックというものを作ったことが無かったから、じっくり眺めさせてもらうことに。

「一万円したんだよ~。ほら、ちゃんとプロの人が撮ると違うよねぇ、カメラ目線してくれてるでしょ。ちゃちゃちゃっと撮ってくれちゃってさ」

そりゃ、時間かけりゃかけるほど、めんどくさいからじゃないかな。
いや、これはカメラ目線には間違いないけれど、他人を警戒してる視線なのではないか?
猫を飼ったことのない私でもそう見えるけど…?

飼い主が満足してることがいちばんなんだよな、問題は。
こんな、借りてきた猫って表現まんまでそこまで悦に浸っているなら、私がなにも言うことではない。
そのくらい弁えている。

しかし。
しかし、だ。
一万円…。
たかだか十ページ程度。
レイアウトもクソもなく、全身が入ってりゃいいや的な写真にしか見えないものが?
スタジオ代と割り切るべきなのか悩むなー。
だってさー。
感度上げすぎなのかザラザラ感が否めなくて、せっかくのラビットファーみたいな毛並みが見事に再現性ゼロ。
子猫らしさが醸し出されてないじゃない、なーんにも、どっこにも。
むむ、これでプロとな?
となると、プロの定義ってなんなんだ…。

世界がぐるぐる回りそうになり(大げさw)、思わず値段を聞き返してしまったが、手のひらサイズのフォトブックはやはり一万円らしい。

わかるよ、猫の成長過程がプライスレスなのは。
でもさー、それを喰いのもにした商売ってどうなのよ。

正直、もうちょっと手抜きじゃない仕事はできないもんかね。

…。
自分ならどうするかな?

と、思い付くと、思わず自前のデジカメでその猫を撮りまくりはじめて夢中になる。
自前っていっても、一眼でもないコンデジにしてはケースがサイズないよね程度なRICOHのCX-1で、CX-6を買ってからわざわざ1に戻ったという、今の価格にしたら値段も付かないようなカメラだけどさ。
いいの、撮り慣れてるの。このカメラとの相性がいいと思い込ませてくれ。

猫の色々な表情を撮るには、腹筋割れそうな格好でも忍耐が欠かせない。
父がカメラを構えて瞑想してるのを、昔は動物とコンタクトを取ってると思い込んでいたが、なるほどこういうことかとわかってくるね、動物相手は特に。
とにかくいつどんなことをするのかわからない相手だから、カメラはずっと構えたままで、空気に溶け込み、デジカメなのでとにかく質より量でゆく。

結果。

「お前って写真うまいね。パパに似たんだね」
と飼い主に言われた。

そりゃ、「友達に撮ってもらった」と、ブレブレの写真を額に入れて飾ってる人にだって、ブレてるかブレてないかくらいの区別は付くだろう。
まあ、そこまで自分の猫に熱心にカメラを構える姿に感動しただけの労わりの言葉のって意味だけかもね。
大丈夫、なにも求めてないから。

まあ、これは好みなんだけど、むやみにフラッシュを焚きまくるのがとにかく苦手。
猫の毛並みは、せっかくの自然光を活かした感じで、どんなふうに変化するのか、その瞬間を切り取りたいと思う。
フラッシュを焚いてしまうとそもそも猫は嫌がるし、瞳孔がフラッシュに反応して表情がなくなっちゃうから、自然に寛いで毛づくろいしてる姿などに、わざわざフラッシュを焚くのは自分のスタイルではない。

うん千枚と撮ってその中から50枚を選び出したのを、
「こんなのでどうかなぁ?」
と、意見を聞こうと母(撮ったのは母の姉の猫なので)にネットプリントで送ってみた。

母は写真のセンスがないので、本当は父に聞きたいが、父は別居中で、別居先の住所は誰にも知らされていない。
そもそも父は、私が撮った他人の猫への写真など興味は皆無だと思うし、褒めることを絶対にしない人だから、厳しいダメ出しは覚悟しないといけない。
そういう意味では、父も母も猫の飼い主にも意見を仰ぐのに適した相手ではないのだけど、とにかく今回はフォトブックを目をしたことのある母にしてみただけのこと。

「ふーん。…フォトブックにすると、いくらくらいするの?」

母は、写真に対して特に意見はないらしく(自分の子供なんだもの、なんでもできて当たり前でしょう、という考えでいる。笑)、またお金のことばかり気にしてる。

「ピンキリ。でも、ほぼ同じ感じにしたいなら2000円も出せばできるよ」

「え! なんでそんなに安いの!?」

世の中の全ては、彼女にかかると金なんだよな…。

「そりゃ、写真を選んだり、レイアウトを組んだりする作業区分をこっちが指定するから、業者はそれを印刷するだけだもの」

「じゃあ、そんなに安く済むなら、今度フォトブック作ってあげてよ」

「…い、いいよ」

母にはいくつになっても嫌だと言えない、ヘタレな私。


そして、わかりきった泥沼にハマった。
完成度のない作業は自殺行為だと自覚してるから、ドクターからわざわざストップ出てなくても遠ざけないといけないのに。
そして、評価の出ないタダ作業ほど、虚無感に陥ることもないね。

自己満足にどれだけ自己満足できるか。

もう、それ考えただけでどっぷり落ち込める。

でもさ。
どこで誰が私の作った作品を見るかわかんない。
親戚相手だからと、適当なものは納品できない。
これがカッコつけならいいんだが、救われないことに本心なんだよね。

数年前、私の写真をたまたま見たっていうプロのカメラマンから、写真を撮らせてくれってオファーがあった(そんときは、しょこたんに似てたんだよw)。
そんなふうに、本当になにが起きるかわからないもん。

ポテンシャルを持たせることが可能なら、それは全力でなければ!
…っていう性格だから、自滅するんだけど。
ま、わかってるだけマシでしょ。

フォトブックくらいで今までお世話になった恩が返せるなら、いくらでも作りますよ。
それで親戚が喜んでくれるんだから、素敵な恩返しの方法だよね!



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