ふと目が覚め辺りが暗いとき。
自分が誰であるかはわかるものの、いくつの自分なのかはわからない。
そして、ここがどこだか、全く見当が付かない。
東京? 札幌? 松本? 諏訪? 辻堂? 湘南台? どこ──……。

寝ぼけてるなら、納得がいく。
でも私は目覚めたとたんにしゃきしゃき動き出す人種なので、寝ぼけるといういうこととはほぼ無縁。
本当にわかんないんだ。

今の私はいつの自分なんだ?

それを真面目に考えてしまう。
走馬燈の逆バージョンかもしれない。

数分後には必ず答えが出るんだが、真面目に考えるとけっこうマヌケだ。
どうして「今がわからなくなる」のか、まあ想像は付くが、長くなるのでそこは割愛する。

恐怖の瞬間に戻りたくない。
恐怖の現場に戻りたくない。
ショックな出来事など思い出したくもない。

強く思いすぎてて、無意識だと戻ってしまうことがある。
フラッシュバックと人が呼ぶものとはちょっと違うと思う。
それでパニックが起きたりすることはない。
もう受け入れてるので。
過去のことだと処理できているので。
だから、全然大丈夫なんだけど、でも、そこに戻って逆にそこではないんだということを確かめてしまう自分が居る。

ほら、今は安全だよ。
ほら、今は川崎。
ねえ、平穏に暮らしてるじゃない。
なにも起きようがないよ。

思い出したとき、胸をなで下ろす。
安堵感に包まれる温かい感触をじっくり味わう。
私は、今、ここにいる。
当たり前なんだけど、当たり前じゃなくなるときがあるんだ。

まだ私は完治してないんだろう。
いつか、100%、自分がどこにいるのか今がいつなのか把握できる日は来るだろう。
その日を目指し、私は毎日を平穏に暮らしてゆく。