IKEAに行きたくないわけ | デフォルト-デフォルメ

IKEAに行きたくないわけ

IKEAへ行くと、自分がどんな無頓着な部屋に住んでるか思い知らされる。
統一感のない部屋。
カーテン、カーペット、それらがどんなふうに選ばれたのかなんて思い出せもしない。
むき出しのワイヤーシェルフに色気は全くない。
人を呼べる部屋ではなくなったのは何年前からだろう。

そもそも、引っ越しが多かったのがいけないのかもしれない。
荷物はコンパクトに、コンパクトに。
家具は機能的であるべし。
すると、ワイヤーシェルフを上回るものはなくて。

その部屋その部屋で丈の合うカーテンを調達し、長さのあうカーペットを用意し、そうして暮らしてきた。
IKEAでテーマのある部屋に向き合うと、自分の暮らしの色のなさに愕然とする。
統一感のあるファブリック、居心地のよさそうな空間。
なのに誰もあそこには住めない。
こんな部屋がいいなとあこがれるだけ。
実際に全部揃えてみたところで、到達感も達成感もなにもない、すでにできあがっちゃってるのだから。

IKEAのソファに座って、なっていたかもしれない人生の一こまを演じる。
IKEAのベッドに横たわって、なっていたかもしれない職業の一覧を挙げる。
選択肢はあまりにも多すぎて、ショールームが足りない。
食べていたかもしれないメニュー。
選んでいたかもしれない道。
目を開けていたかもしれない瞬間。
どれもかもしれない、かもしれない、かもしれない、可能性。
完璧な家具の配置に可能性すら打ちのめされる。

もう、IKEAに遊びに来るよだれを垂らした自分しかいない。