crystal clear 下書き1
私は不可視になれる。
誰の目にもとまることのない存在。誰の記憶にもとどまらない。
同窓会で名前を覚えてもらったためしがないって、充分な証拠じゃないかな。いいかげんもう足を運ばなくなっちゃったけど。求められていない存在がいてもしょうがないしね。その他大勢って大切だけど、自覚するのはあまり気持ちのいいことじゃない。
全ての物事は私の上を容赦なく通過していく。
時間って非情だな。とんとんとん!と、あっという間に私を社会に放り出しちゃった。なんの計画も対策も練ってないってのに。
気がつくと成人式も済み、もうリップクリームが手放せない。
まだ何も手にしてない。友情も愛情も地位も名誉も。とてもじゃないけど、これからも持てるとは思えない。希望も特に持ってるわけじゃないし、諦めてるってわけでもない。なるようにしかならないから、いつでも。
私は、読んでいるんだかもよくわからない雑誌のページをめくった。
ここ、コンビニ。誰でもかなり不可視になれる場所。
明日も近い時間、田舎のコンビニに客は私だけ。やる気のなさそうな店員は奥に引っ込んでしまっていて、私はいつものように気兼ねなく立ち読みができる。
とっとと帰ってもいいよ、自分の部屋に。私を毛嫌いしてる同居人はきっともう家にいるだろう。玄関を開けた瞬間から小言のオンパレードが予想できる。予想どころじゃないな、確実だもん。彼女には不可視のワザが通じない。潔癖性ってたぶん、なんでも見える目を持っているんだろうね。ド近眼のくせして、変なの。
ため息とともに、近くのスーパーで買い込んだ今晩の食材の入った袋を右手から左手に持ち替える。重心を置いている足も適当に入れ替えた。
積極的にYokohamaWalkerが引き止めてくれているわけじゃない。美味しいラーメン特集を読んだって、一緒に行ってくれそうな人いないし、独りでラーメン喰いに行く趣味ないし。
ぎんぎんに明るいこの蛍光灯のせいでもない。私ってば、虫かよ。
ため息、何度目だろう。自分にツッコミ入れたところで、雑誌のラックとガラス1枚隔てた駐車場へ車が入ってきた。かなりな速度。ちょっとヒヤッとするくらい。やたらキッと鋭角に入ってきたし、タイヤが悲鳴を上げたかのようにキュッと止まる。きっと急いでるのね。
真っ向から車のライトに照らされたのはほんの一瞬。あんまりそうやって舞台に立たせられたような疑似感は好きじゃない。同じ光なら、赤・緑・青を一気に浴びて自分の存在という色を飛ばしてしまいたい。
ライトが消えると同時に車から降りた男の人は、さっそうと店内に入ってきた。
オレンジ色のダウンジャケットが蛍光灯の下、まぶしくて目が眩みそう。思わずぽかんと見つめてしまっていたけど、向こうは一目散にこっちを目指して大股に歩んできてる? まさかね。あわてて私は何事もなかったかのように雑誌に目を戻す。
──。
この話、3年くらいほったらかしだ・・・。
「不可視」ネタは良かったと思った。
不可視が利かない潔癖症の同居人というアイデアも。
でも、もう書かないだろうから、封印。
誰の目にもとまることのない存在。誰の記憶にもとどまらない。
同窓会で名前を覚えてもらったためしがないって、充分な証拠じゃないかな。いいかげんもう足を運ばなくなっちゃったけど。求められていない存在がいてもしょうがないしね。その他大勢って大切だけど、自覚するのはあまり気持ちのいいことじゃない。
全ての物事は私の上を容赦なく通過していく。
時間って非情だな。とんとんとん!と、あっという間に私を社会に放り出しちゃった。なんの計画も対策も練ってないってのに。
気がつくと成人式も済み、もうリップクリームが手放せない。
まだ何も手にしてない。友情も愛情も地位も名誉も。とてもじゃないけど、これからも持てるとは思えない。希望も特に持ってるわけじゃないし、諦めてるってわけでもない。なるようにしかならないから、いつでも。
私は、読んでいるんだかもよくわからない雑誌のページをめくった。
ここ、コンビニ。誰でもかなり不可視になれる場所。
明日も近い時間、田舎のコンビニに客は私だけ。やる気のなさそうな店員は奥に引っ込んでしまっていて、私はいつものように気兼ねなく立ち読みができる。
とっとと帰ってもいいよ、自分の部屋に。私を毛嫌いしてる同居人はきっともう家にいるだろう。玄関を開けた瞬間から小言のオンパレードが予想できる。予想どころじゃないな、確実だもん。彼女には不可視のワザが通じない。潔癖性ってたぶん、なんでも見える目を持っているんだろうね。ド近眼のくせして、変なの。
ため息とともに、近くのスーパーで買い込んだ今晩の食材の入った袋を右手から左手に持ち替える。重心を置いている足も適当に入れ替えた。
積極的にYokohamaWalkerが引き止めてくれているわけじゃない。美味しいラーメン特集を読んだって、一緒に行ってくれそうな人いないし、独りでラーメン喰いに行く趣味ないし。
ぎんぎんに明るいこの蛍光灯のせいでもない。私ってば、虫かよ。
ため息、何度目だろう。自分にツッコミ入れたところで、雑誌のラックとガラス1枚隔てた駐車場へ車が入ってきた。かなりな速度。ちょっとヒヤッとするくらい。やたらキッと鋭角に入ってきたし、タイヤが悲鳴を上げたかのようにキュッと止まる。きっと急いでるのね。
真っ向から車のライトに照らされたのはほんの一瞬。あんまりそうやって舞台に立たせられたような疑似感は好きじゃない。同じ光なら、赤・緑・青を一気に浴びて自分の存在という色を飛ばしてしまいたい。
ライトが消えると同時に車から降りた男の人は、さっそうと店内に入ってきた。
オレンジ色のダウンジャケットが蛍光灯の下、まぶしくて目が眩みそう。思わずぽかんと見つめてしまっていたけど、向こうは一目散にこっちを目指して大股に歩んできてる? まさかね。あわてて私は何事もなかったかのように雑誌に目を戻す。
──。
この話、3年くらいほったらかしだ・・・。
「不可視」ネタは良かったと思った。
不可視が利かない潔癖症の同居人というアイデアも。
でも、もう書かないだろうから、封印。