夢日記2/1 | デフォルト-デフォルメ

夢日記2/1

夜だった。自分の部屋の窓を開けると、細かなつぶつぶしたものが部屋の中に風もないのに入ってくる。慌てて窓を閉めた。すぐそこにある松の木(スカスカなモミの木にも見えた)みたなのが原因らしい。そして、つぶつぶはクモの卵だという認識を持っている。
卵の状態では害はない、今のうちに何かしようと、その部屋を出て向かいの部屋へ入る。そこは物置らしく、害虫用の殺虫剤をすぐに手にする。500mlくらいのそのボトルのラベルには違う虫用だと書かれていたが、それしかないのでこれでまあいいかと思ってる。基本的にクモを怖いとは感じてない。

1階に降りると、ぬいぐるみを抱いた妹が洗面所の窓の向こうでなげいている。
独り外に立つ彼女に、私は声をかけようとして窓を開けた。
「私の恐怖は誰にもわからない」
延々と彼女は独り言のようにつぶやいている。
クモが怖いのかなと、最初、感じた。
「そんなことないよ」
私はクモを脅威として見ないけど、小さな女の子だったら怖くて当たり前だと思った。
助けたかった。妹だからとか、悲しそうだからとかって理由なしに、だた人として。
「わからない。誰にも。この恐怖は」
彼女はぎゅっとぬいぐるみを胸に抱え私と目を合わせず、でも、訴えかけるように声を大きくした。
この辺りで気がついていた、これが言葉遊び的なゲームであることを。優しさとは何なのか、試されている。
しょせん、彼女は他人だ。年も違う。小さな女の子の恐怖など本当の意味で理解する事はできない。
簡単に「わかるよ」なんて言っても、救えもできやしない相手に一方的な優しさを誇示する傲慢な人間でしかない。
でも、言っちゃったんだ、言ってはいけない言葉を。
「そんなに抱え込まないで、私だってわかるから」
彼女はそこで初めて私と目を合わせた。もうぬいぐるみを胸に抱いていなかった。
「わかる? この恐怖が? じゃあ、全部あげるから受け止めて」
一気に"世の中のすべてのあらゆる恐怖"が自分の中へ入ってくるのを、身構えて覚悟した。これが責任というやつだ、中途半端に同情したから。
「自制心だ。耐えろ。耐えられる」
自分に言い聞かせてぎゅっと拳を握った。妹の腹が割け、おぞましい光景に面食らったが、そこから放出されるドロドロとした生理的に受け付けないような物体は私のもとへ到達するまでに異次元に吸い込まれていくようにスッと消えてなくなった。
大丈夫だ、乗り越えたと思えた時、目が覚めた。意外にも拳は握っていなかった。私の手の中には彼のごつい手があり、すやすやとその手の持ち主はまだ眠りの中だった。
ホラー映画並に妹役の女の子は怖かった~。ビジュアルだけね。そこで騙されてたってのもあるんだろうな。
恐怖という物は実のところ、ハッキリとした形もなく、なんの脅威でもなかったんだろう。恐怖に恐怖していた。蓋を開けると何もなかったということだ。