発酵ひとり旅の中盤に入りました。
愛知県碧南市から三重県の伊賀へ移動。名古屋からバスでいざ伊賀へ!!
伊賀へ到着したらまずは滞在先のゲストハウス「アインス伊賀」にチェックイン。予約したときには気が付かなかったけれど、実はここは男女が一緒の部屋!!ずらっと横に並んでいる二段ベッド、私が選んだベッドのお隣はオジサンだった・・・。まあ、何も事故はなかったからよかったけど、ちょっとばかりスリルのある体験だよね
今回この伊賀でお世話になるのが、伊賀のこうじ屋 中村糀店さんのマリコさん(お店のHPはこちら)。実は数年前からお互いにアメブロでフォロワーになっていたのだけれど、今回思い切って「お店を見学させていただけないでしょうか」とお伺いしたところ、快諾してくださった。そして、これまた図々しくも「伊賀の辺りに醤油や味噌やお酒など伝統的に作られている蔵があったら教えていただけますか」とお聞きしたら、「一緒に見学に行きましょう!」ということで、伊賀に滞在中はマリコさんに全面的にお世話になることに
お陰様で一緒に楽しい時間を過ごせて有意義な滞在となりました。どうもありがとうございました
その中村糀店さんは大正時代から100年続いている糀屋さん。ご主人が3代目だそう。
こちらは家族経営で100年前から変わらず伝統的な作り方をされている。家の奥にある麹室は、45年ほど前に一度建て替えているそう。
麹室の入り口
伺った時は丁度種切りから12時間ほど経った「床揉み」をする時間だったので、一緒に室にいれていただいた。
ワクワクしながら室に入ると右側に莚(むしろ)がこんもりと積んであるのが見える実はこの中に種切りした麹がある。これを見ただけですごく興奮状態になる私。実はあまりにもビックリして、普段出るような「わ~、すご~い!」とかの感嘆詞さえが出ない・・・。なんかこう、タイムスリップして麹の原点が見えたようなそういう気分。というか、お寺や神社で騒いだらいけないような、そういう神妙な気持ちになる空間。
莚を外していくと・・・
布に包まれた麹現る・・・
そして露わになった麹達・・・
床揉みの様子
100年前からの伝統的な作り方をされているとはいえ、この床揉み機は導入されたそう。床揉みすることによって、麹菌の成長を促し、米粒の中に破精込みやすくなる。手でやる床揉みよりも効率がいい。
この作業の後、また布に包まれた麹はさらに8枚ほどの莚で覆われていく。これで保温と保湿がされるのだ。伺った時はまだまだ残暑厳しかったので、常温の室で盛り(麹蓋に盛る作業:種切りから約20~24時間後)まで莚で包んでおく。冬などはさすがに気温が下がるので麹室にストーブを置いて保温するそうだ。この麹室には一応温湿度計もかけてあったけれど、基本的に麹の温湿度は手で触った感覚で調整するそうで、これぞ職人技だと感心してしまう。常に温度計をさして麹の温度が上下するすのを見るたびに「あららら~」と一喜一憂する自分の製麹の仕方が恥ずかしくなる。
部屋にかけてある温湿度計
こちらは麹蓋。翌日にはここに麹が盛られる予定。
店頭のカウンターに置かれた出来上がった麹達。一部は袋詰めされているけれど、残りはまだ蓋に入ったままの状態で。1枚単位で買うこともできる。
なんて綺麗な麹なんでしょう
ちなみに、普通なら「何時間浸漬するのか?水切りは?種切り温度は?・・・」などやたらと数字が気になったり、技術的なことを聞いたりしてしまうのだけど、中村糀店さんにはそんな愚問を聞くのは失礼だなと思うと同時に「あ~、製麹ってそういうもんじゃないんだな」「菌や微生物に寄り添うって数字で表されることじゃないよな~」って心底思った。中村さんの「体感」で製麹されている姿はとてもカッコよかった。どう逆立ちしても私にはそんなマネはできないだろうけれど、もう少し菌に寄り添うことならできるかな。もっと寄り添えれば、菌が心地よく成長できる環境を整えてあげることができて、今よりも美味しい麹になってくれるかも。
今回、こちらを見学させていただいたのは、とても貴重な経験でした。
欲を言えば、次回またお邪魔させていただき、製麹の全工程を経験させていただきたいと思います。その時はどうぞよろしくお願いします!