少し古い8月のニュースですが、
Duchenne型筋ジストロフィー(DMD)に対して遺伝子レベルでの治療効果を発揮する薬剤が、世界に先駆けてEUで条件付承認のニュースです。
▽今回承認されたのはDMD患者の約13%を占めると考えられている、nonsense変異に起因するDMDに対する治療薬のPTC Therapeutics社のataluren(商品名:Translarna)です。
Translarnaはread through型薬剤であり、ジストロフィン遺伝子が点変異を起こし、その点変異が終止コドン(DNAの翻訳が誤ってそこで停止してしまうタイプの変異)になってしまうために、機能しない変異ジストロフィン蛋白が生成されるタイプのDMDに有効性が期待される薬剤です。
▽Translarnaは歩行可能な、5歳以上のnonsense変異を有するDMD患者に対しての使用が承認されました。EUの28カ国とアイスランドで販売認可されましたが、条件付承認であり、その条件とは、第3相臨床試験を完遂し、さらなる有効性と安全性に関するデータを提出することとなっています。
▽今回の承認は、174名のnonsense変異DMD患者を対象とした、48週間の無作為割付二重盲検多施設比較試験の解析結果を受けてのことです。
▽6分間歩行テストによる評価で、Translarna投与群は、48週間で平均12.9mの歩行距離減少を示したのに対して、プラセボ投与群では、平均44.1mの歩行距離減少であり、この差は統計的有意差には至りませんでしたが(p=0.056)、良好な傾向と考えられました。
▽さらにエントリー時点での歩行可能距離が350m以下の重症群に限って比較すると、48週後の6分間歩行テストでの歩行可能距離の差は68mであり、より大きな差となりました。また6分間歩行テストの歩行距離が10%低下するまでの時間についても、Translarna投与群では、プラセボ群より延長する効果がみられました。
▽この結果により、ヨーロッパ医薬品局は、Tranlarnaがnonsense変異DMD患者において、歩行可能距離の減少を緩やかにする効果があるものと認めました。
▽重大な副作用もみられなかったとのことです
▽以上より、TranslarnaはDMDの発症原因である遺伝子変異を直接的な治療対象とした薬剤として、初の承認を得ることとなりました。
翻訳:安田 英彰(医師)
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アメリカ筋ジストロフィー協会の許可をいただいて翻訳・記事を掲載しています。
Used with permission of the Muscular Dystrophy Association of the United States.
Excerpted from an article in MDA's Quest magazine.