理想の着陸🛬は条件が許す限り、大きな鳥が羽を大きく広げて充分減速して接地するイメージです。そしてフレアー(機首の引き起こし)を対地30フィート前後から接地まで一定のレイトで出来れば最高です! ! 5秒から7秒の勝負です!


目を瞑った乗客のイメージを考えて見ます。フレアー中軽い一定のG(荷重)が掛かります。主車輪が接地した時軽いショックを感じます。

勿論ノーショックも有りますが!  接地直後リバースを開けた時一瞬減速感が生じ身体が軽く前方に動きます。リバースの音は殆どわからないでしょう。接地時の姿勢を維持し3〜5秒後に機首を静かに下げ接地する時も殆ど分かりません。30ノツト以下でリバースを格納する時、逆推力から加速に変わるので軽くブレーキを使いショックを和らげます。そして誘導路(taxiway)に入る時、曲がる反対側に軽く頭が揺れるので曲がった事が分かるのです。通常の着陸で使うブレーキは一切使う必要は有りません!!この着陸では新幹線🚅🚄の様なブレーキングが当然出来るのです。


後程説明しますが、リバースを格納すると加速してしまうのでタクシーウェイ(誘導路)に入る時どうしてもブレーキが必要になるのです。

Airbus A-300-600Rは170トンもの最大着陸重量にも関わらず2000メートル滑走路で全く余裕が有りました。勿論滑りやすい雪氷滑走路でも、十分なフレアーをし減速が出来れば 空力抵抗は全く同じです。唯一タイヤの摩擦抵抗が少なくなるだけです。そして少し違う事はスムーズな接地をするとタイヤのスピンアップが遅れスポイラーの立ち上がりが遅れる危険が増大します。その為ファームランディング(確実に接地する)をします。しかし雪氷の上に接地する時はショックが大幅に少なくなります。

 MDシリーズは禁止操作でしたが私はこの着陸を徹底して実施しました。


勿論条件が有ります。向かい風(ヘッドウインド)は何の問題も有りません。5ノット位の向かい風では対地20フィートでスラスト(パワー)をアイドルにします。それ以上の向かい風では接地後にアイドルにする方が無難で楽です。失敗が有りません。向かい風があると対地速度が少なくなるので着陸距離が充分短くなるのです。


背風(後からの風 テイルウインドと言う)は5ノット位までは対地30フィート以上で早めにスラストアイドル(パワーをカット)すれば理想の着陸が出来るが、それ以上強い場合安易にフレアーすると大きく浮き上がり易く接地点が伸びる危険が有るのです!そしてフレアーは必要ないのです。理由は後ほど説明します。


横風(クロスウインドと言う)の場合、海側からの風で障害物が無く気流の乱れ(タービュランス)が無い限り25ノットまで出来ます。そして

5ノット以上の横風が有る場合、主輪が接地した瞬間とその数秒後に前輪を接地する時横風に対するエルロンとラダーのテクニックが必要です。


気流が悪い場合パワーを残して少ないフレアーで接地寸前に風上側にマックス2度傾けて機軸を滑走路に完全に正対して、横滑りする前に接地させます。私の考えとテクニックでは最大2度傾けるだけです。どんな大型機でも操縦桿の効きが良くエンジンや翼端を接地させる危険は有りません。現在のFly by Wire(電気信号で3つの舵を動かす)の舵の効き遅れはわかりませんが?


横風着陸は別の項目で説明しますが、機軸がほんの少しでも合わず斜めに滑った状態て接地すると嫌なショックが発生するので乗客にも機体にも悪影響が有ります。雪氷滑走路でも全く同じです。


私の目指していた理想的な進入・着陸🛬は滑走路端(スレッシュホールドと言う)を安定して通常の降下パス3度を守り(進入角指示器)、速度は基準速度+5ノットを出来る限り維持し、滑走路に入ったら約2秒後、約30フィートからフレアーを開始し1秒後(約20フィート)にスラスト(パワー)をアイドルにします。

4〜6秒かけて一定のG(重力)を掛けながら(一定ではなく一定の変化率 説明の便宜上)進入角指示器の指す目標から前方約400フィート〜500フィートに移動して静かに接地します。主車輪が接地した瞬間リバースレバーを引き上げ瞬時に前方に戻しアイドルストッパー(アイドルディテントと言う)に当てます。  訓練して余裕が無いとリバースを格納してしまう危険が有るのです!


この理想的なフレアーが出来ると、特に向かい風が強いとフレアー開始から4〜6秒でスピードが5ノット近く減速して接地出来ます。それこそ大きな🦆鳥がフワッと着地する様です。


フレアー(機首を引き起こす事)は進入時の機首上姿勢の角度(機種により通常1度~4.5度)から約1度~2.5度上げる事です(テイルウインドでは1度前後で良い)。  たったこれだけです!! そして接地時のピッチアップ角度はトータル2度~7度まで上がります。フレアーをあと0.5度総計3度上げるのは趣味のレベルです。


たった2度〜3度の変化ですが、前方滑走路の端(この場合は水平線も含みます)を注視していると大きな変化に見えるのです。ただ滑走路の端を見ているだけでは正確に4秒~6秒で一定のテンポでフレアーを継続するのは難しいので、滑走路端(TH)通過後500フィートの接地帯標識の真上(約2秒後)から1秒ごとに目標を100フィート毎に先方に移動し1700フィート〜1800フィートにするのです。正確には1秒ごとに0.5度(100フィート毎)上げる訳ではないが説明しやすく簡易的に表現しています。そして一点集中になると水平線への注意力が甘くなり易いので傾ける危険があります。


すると確実に滑らかな一定レイトを作れます。そしてパイロットの位置はその目標に接地するのです。主車輪はコクピットの後方30フィート(10メートル)~50フィート(15メートル)の位置に在ります。この場合の対地50フィートとか対地30フィートとは進入角度を指示する機械を目で見て維持していた場合のパイロットの、滑走路の位置であり主車輪の高さでは有りません。、そして正確に30フィートを指すのでは無く、接地帯標識上を高さの参考にするのです。発想の転換です。(着陸の項目で図解します)  滑走路にスロープがあるときは事前研究が必要になります。


約30フィート迄パスを維持してフレアーを開始すれば当然進入角指示器の先に接地します。その手前に接地する事は急激に沈んでハードランディングの危険性が増大します。

戦闘機F-15の着陸を見ましたが、進入角指示器を全く無視してパワーオン(大きなパワーを維持して)低いバスで手前に接地していました。これは滑走路を十分使うからです。民間機では許されません。


この理想のフレアーをすると接地までに対気スピードが約2ノット/秒で減速するので10ノット〜15ノットは減っているが、未だ機首上げ姿勢を維持する揚力・スピードは残っています。接地後4〜6ノット/秒で減速します。機種により若干違いがあるが約85ノット~80ノットで前輪を接地させるのが理想です。その約5ノット前(90ノット~85ノット)から操縦桿のエレベーターをホンの少し緩め機首を下げ初め、且つ支えながら一定のテンポ(レイト)で下げ、接地寸前にエレベーターが腹に付くまで最大限引きます。全くノーショックで接地出来ます。


昔、前輪を酷く叩きつけて乗降ドア🚪の横の胴体部分に大きな皺や亀裂が出来たり、最悪前輪の脚がコクピットの床を突き破った事例があったのです。信じられませんね!!


通常の着陸では真剣に前方を注視しますが、リバースはアイドルなので左右に振られる危険も全く無く、後ろを向いて会話する余裕があります!  ! 機首上げ角度は計5度~7度(エアバスA300-600R)になります。この時翼の迎角は大きな空力抵抗になります。それに加えて主車輪が接地しタイヤが回転し初める又はリバースを使うと自動的に翼上のスポイラー(空中ではスピードブレーキ)が60度立ち上がります。この空力抵抗が加わり、機体全体の空力抵抗と揚力を減らしタイヤに荷重を掛け摩擦抵抗で減速するのです。


ある友人が機首を7度も上げているとスポイラーの角度が7度減ってしまうので抵抗が少なくなると言いました。胴体部分を除いても左右15メートル以上計30メートル以上の大きな翼と翼上の小さなスポイラーの角度でどちらの空力抵抗が多いか一目瞭然です。

そして機首上げ状態では揚力が発生するので主輪にかかる荷重が減るので摩擦抵抗も減るなどと屁理屈を言っていました。


さて話を戻します。ブレーキとタイヤの損耗について説明します。ジェット機のタイヤはマックス195ノット(約360キロ)での接地が許容されています。因みにスペースシャトルは約5000メートルの滑走路に約225ノットで接地するそうです。そして🪂パラシュートを後方に出して減速に使います。アイドルリバースと同じ理屈ですね!


回転していないタイヤが150ノット(約277キロ)~120ノツト(約222キロ)で接地した瞬間にある程度カットされます。削られるのです。1ノットでも減らして接地したいものです。通常150回位の着陸でタイヤ交換します。そしてアンチスキッドの効く、滑走路面にタイヤ痕の残る様なブレーキを多用すれば寿命はもっと短くなるでしょう!


次の回でブレーキングについて説明しますが、昔、タイヤメーカーの技術者に言われました。我が社のタイヤはゴム自体の劣化が激しいと言う事でした。その当時オートブレーキが未だ装備されておらず、リバースを開けて直ぐブレーキをかけ効きを確かめていたのです。

120ノツトで緩いながらもブレーキを使えばブレーキ温度は急激に上がります。規定は205度でした。お客様が降機している間にも温度は上昇するので夏は特に空冷の為外部のエンジン冷却機を使います(エアバスは内臓していた)。この頻度が多ければゴム自体が劣化します。飛行機のタイヤは高額なのである回数迄再生します。表面を綺麗に削りその上に新しいトレッドを接着するのですが、熱されたホイールに接触しているゴムの土台部分の劣化が激しいと規定回数迄の再生が出来なくなります。


そして、タイヤ🛞だけで無くブレーキの損耗も激しくなります。DC-9のブレーキオーバーホールの費用は当時片側300万円と言われました。ダグラスのリポートでは世界的平均で650回~1200回の着陸でオーバーホールしているそうですが、我が社は最悪の約650回毎ではないかと思いました。勿論このオーバーホール中は飛べません! 私の着陸とブレーキングでは1200回どころか1500回に一度のブレーキオーバーホールになると思います。もの凄いコストカットですね!! 年に2~3回から1回に減るのですから! 稼働率も大きく向上します。

この当時と違い現在はカーボンブレーキに改良され耐温度上昇も耐久性も向上しています。しかしこの着陸とブレーキングでは推して知るべしです!