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「おばあちゃんの耳はどうしてそんなに大きいの?」
「お前の声がよく聞こえるようにだよ」
「おばあちゃんの目はどうしてそんなに大きいの?」
「お前の事がよく見えるようにだよ」
「ふ~ん、それじゃおばあちゃんの口はどうしてそんなに大きいの?」
「それはね…お前を食べるためだよ~!!!」
「!!?」
「ヒャ~ッハハハハ、驚いたか小娘!お前は今日のメインディッシュだ~!」
「おばあちゃんは?」
「あのババアならお前が来る前に前菜としていただいてやったぜ」
「・・・」
「どうした、恐怖のあまり声もでないか?」
「いいよ…」
「あ?」
「食べても、いいよ」
「ほう、ずいぶんといさぎがいいじゃねぇか」
「私、一人ぼっちなんだ」
「あぁ?」
「私ね。小さいころにお父さんがいなくなっちゃって、お母さんとずっと二人っきりだったんだ。そのせいか周りのみんなから変な目で見られて友達もできなくて…」
「・・・」
「でもね、お母さんとおばあちゃんがいたから私へっちゃらだったんだ。でも最近、そんなお母さんに好きな人ができたみたいで…」
「・・・」
「きっと私がいたら邪魔なんだよ。お母さん、私なんかと居るよりも、その人と一緒になったほうが幸せに決まってるもの」
「・・・」
「それに、おばあちゃん“そこ”にいるんでしょ?おばあちゃんと一緒にいられるなら寂しくないし、どこんな所でも怖くない…」
「・・・」
「さぁ、一思いに…」
「あまり自分を過小評価するもんじゃねぇぜお嬢ちゃん」
「え?」
「そのおっかさんだって、お前とずっと一緒に居たいに決まってるじゃねぇか。」
「でも、私がいるとその男の人と…」
「幸せはひとつしか掴んじゃいけねぇって誰が決めえたんだ?おっかさんにはその男と一緒にいる幸せ、そして今まで通りお前がいる幸せ、両方手に入れちゃだめかい?」
「・・・」
「お前ら3人で幸せに暮らす。それがおっかさんにとっては1番の幸せなんじゃないのか?」
「オオカミさん…」
「婆さんの事はすまなかったな。食っちまった俺が言う事でもねぇけど、婆さんの分も幸せになって、天国の婆さんを安心させてやれ」
「私の事食べないの?」
「ちょうどダイエットしてるの思い出した。最近太り気味でよ、危なく食いすぎる所だったぜ」
「・・・」
「それじゃあな」
「待って!あの、せめてこのお婆さんに持ってきたクッキー食べてください」
「あ?」
「まだ下手っぴだけど、一生懸命作ったんです。お肉が好きなオオカミさんの口には合わないかもしれないけど…」
「…確かに変な形をしてやがる」
「・・・」
「でも、うまそうだな。いただくぜ」
―パク
「グホッ!」
「・・・」
「く、苦しい…。なんだこれは…」
「クスクス…」
「まさかお前、このクッキーに…」
―グサッ
「!!?」
「油断大敵だよ?オ~オカミさ~ん?」
「お、お前…」
「オオカミさんってホント優しいよね~?あんな話真に受けて、見逃してくれるんだから」
「お前…じゃあさっきの話は…」
「うふふふ♡」
「じ…自分が助かるために婆さんや母親をだしにつかったのか。二人ともお前にとって掛けがえのない存在じゃなかったのか…」
「アハハ♪ちゃんと聞いてた?オオカミさん。言ったでしょう?“私はもう一人ぼっち”そしてこれは“お婆さんに持ってきたクッキー”って」
「お…まえ…」
―ドサッ
「バイバ~イオオカミさん。それにお婆ちゃん…。お母さんが先に待ってるから…」
こうして女の子のずきんは真っ赤に染まり、それから女の子は『赤ずきんちゃん』と呼ばれるようになりましたとさ。
めでたし、めでたし。