2006年6月12日。
この日が一体どういう日だったのか、
即座に答えられる人はどれだけいるだろうか?
2006年6月12日とは、
サッカーのワールドカップ、ドイツ大会の、
日本対オーストラリア戦のあった日だ。
しかし、
これからここで私が書こうとしている小説において、
この日の意味合いは、かなり違ったものとなるはずである。
私は、ある巨大掲示板のあるところに、
もう丸五年間も住み着いている。
そこで、いろいろなスレッドの大勢の人たちのレスを、
いつも私はひたすら黙って読んでいる。
たまに気が向いた時だけ、ごく短めに名無しでレスを入れる。
たしか2006年の春頃からのことだった。
「都内の多くの占い師が、6月13日から先が見通せないらしい」
などという根も葉もないウワサが広まった。
その掲示板内のごく一部でのことだ。
ウワサはすぐに尾ヒレがついて、
「6月13日から先の未来は、何かとんでもないことがあるようだ」
という内容に変わっていった。
まともな人間なら、
茶を噴いて爆笑してしまいそうなタワゴトである。
いま、2007年6月28日に、
私はこの小説の序文を書いている。
もうあれから一年以上も経ったのだと、少し懐かしく感じる。
2006年6月12日にまつわるフィクションを、
いつか描いてみたいとこの一年間ずっと思っていた。
ウワサで焦点となっていたのは、
2006年6月13日だった。
しかし私にとっての少し懐かしい日とは、
正確には、2006年6月13日ではなくて2006年6月12日なのだ。
2006年6月12日。
この日は、
土壇場で失点を重ねるサッカー日本代表チームに対して、
「ディフェンスがゆるいんじゃ! こらーっ!」
と私が真顔で激怒した日でもある。