東京バレエ団「M」観劇 | Fのバレエ日記

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こんばんは、Fです。

 

23日に新国へ行き、24日は東文と贅沢な週末でした。

2日連続の観劇ですが、新国オペラパレスと比べると、東文の椅子は狭いですね。

そして、JR上野駅がアップデート中で公演口に出るのに迷いました。

 

さて、

東京バレエ団「M」観劇してきました。

ベジャール作品にハマるきっかけになった作品なのです。好きなのです。

 

ずっと観たいと思っていました。

今年は上演すると思っていました。

三島由紀夫没後50年ですから!

50年というと結構経ったなぁ。という感じがします。

当時、生まれてないけど。

 




初めて「M」を観たのが10年前。

三島由紀夫没後40年のとき。

あの時は、一、二、三、四の役が初演のキャストで、しかもみなさま大ベテランの域に達してらして、でもだからこそよかったのですよ。

作品を知り尽くして、人生経験もそれなりに積んで。

すごく感動した、というか、感動ではないなぁ…うーん、なんて言うのか分からないけど。

とにかく心に残って、ベジャール作品に興味を持つきっかけになったのです。

 

あと、2010年公演の「海上の月」役が渡辺理恵さんで。渡辺理恵さんが好きになったきっかけの作品でもあります。

観ただけなのに思い出がたくさん。

 

「海上の月」は、白の全身タイツを着て踊る役なのだけど、理恵さんのその後ろ姿が、それはもう美しく。

ベジャール版「くるみ割り人形」の聖母マリア役でも白の全身タイツをお召しになっていて、それもまた美しい。

私の中では、理恵さんといえば白の全身タイツ、白の全身タイツといえば、理恵さん…。

 

それから10年後の今年、やっと2回目を観れて、次は更に10年後か?2030年?

生きてるかな?

 

始まりのシーン、少年を連れたおばあさんが10年前の小林十市さんと重なって、タイムスリップを繰り返し、あれは誰?私は誰?状態でしたが、ただの頭のおかしい人です。ええ、自覚しています。

「四」が、おばあさんを脱いだところで、現在に帰って来ました…。

 

海のみなさんが並んでポーズを取って行くシーンが、ザ・カブキのあるシーンと重なってしまって「あれ?いろはにほへとは?」とか思ったけど、ああ、違うんだった…。と。

10年ぶり、2回目の記憶は怪しい。

 

主要キャストが発表されたときは、意外な感じがしたし、「四」の役はプリンシパルじゃないんだなー。

と思ったのだけど、観て納得。

的確なキャストだったと思います。(なぜ上目線。ごめんなさい)と言うか、「二」「三」役のお二人は、ベジャール作品で期待しているところの日本男児を表現するには弱いと言うか、踊りが美し過ぎると言うか、この作品に於いても、なんとなく王子様な感じがしました。

以前に観た、秋元さんの由良之助もとても美しい印象でした。由良之助って、とても男らしい役だと思うんですけど、秋元さんが踊ると上品で、生首持って登場しても上品でした。

 

そんな中で「四」役だった池本さんは、見た目は力強く、内面は繊細に、「死」に一番近く、舞台上に表現された概念としての三島由紀夫を「死」に導いて行く役割を見事に演じられていたと思います。

 

「一」役の柄本さんは、さすがというか。長くベジャール作品を踊っていらして、ボレロのセンターも踊っていらして、柄本さんが「四」を踊っているところもぜひ観てみたいけど、プリンシパル級の身長190オーバーの男性が3人入団しないと無理よね。そんなこと、ありえないし。

 

鏡子の家のシーンの水香さん「女」という、とても抽象的な役だったけど、長い手足で美しく、また、さすがの貫禄でした。

この水香さんの登場で全体が締まったというか、長くベジャールの作品を踊っていらした貫禄で、主役ではない役だけど場面全体をまとめていた感じがしました。

 

また、この「女」という役、女性らしい衣装を着ている訳でもなく、エロい仕草がある訳でもなく、何が女なのか?よく分からないけど、そこがまたベジャールらしいのか?そういうところに引きつけられるのです。私は。あと、5回くらい観たら理解できるのかな?と。

 

「海上の月」は、やっぱり私の中では渡辺理恵さんの印象が強過ぎて、なんとなく、なんか別の人が踊っている(当たり前)…という感じがしてしまった。ああ、ごめんなさい…。

 

あと、鹿鳴館のシーンで、円舞曲を踊っていた秋山さん。最近、主役踊られることも多いようだけど、いやスゴイね。スゴイ軽い。

たぶん、体重も他のダンサーより軽いのかもしれないけど、踊りが軽い。

男性にリフトされたときの一瞬落ちてくる感じが全くなかった。スゴイね。浮いているの?飛べるの?fly?

 

「M」という作品は、無音の中で踊るシーンも多くて、とても大変だと思うのだけど、無音であることで、ダンサーが際立つし、とてもステキなシーンなのだけど、無音と単調なリズムと暗転で後半眠くなったのを必死で堪えていました。勿体ない…。

「イチ、二、サン、シ」のセリフ、回数が少なかった気がするのだけど、コロナ対策で減らしたのかな?私の記憶違いかな?

 

一番好きなシーンは、みんな、そうだと思うけど(勝手な想像)最後の少年が仰向けに倒れたところから赤いリボンが伸びてきて、それが登場人物を紡いで行くシーン。

最後に、三島作品が全部繋がって三島由紀夫の生涯が閉じて行く感じが、人生が一番盛り上がったところで死んで行った三島由紀夫の最期を著しているようで、ラストにふさわしくとても美しいシーンなのだけど、美しいからこそ虚しさを感じる場面でした。

 

観劇しながら思い出したのだけど、10年前は1階のすごい前の方の席で、舞台全体が見えなかったんです。

今回は2階正面の最前列で舞台全体が見えて、バックスクリーンが降りていなくて舞台の裏が剥き出しになっているところが見えたりして、舞台の全体の在り方も楽しむことができました。

 

ところで、鏡子の家のシーン終わりで赤いソファ片付けてたの飯田先生(団長)でしたよね?←先生とか言ってるけど、私は関係者でもなんでもないです…

 

 

では。