大晦日の続きからです。
実家に到着するともう夕飯時。
基本的に実家に集まる親戚たちも年が明けてから来始めるので今はパパとママしかいない。
そして妹とヒアルカップルと私。
めっちゃ私だけ気まずい事だけは分かった。
家に着くと変わらぬ笑顔で出迎えてくれるママと絶妙に附に落ちない表情のパパ。
うん、だと思ったよ、車中で安易に想像出来たもん。
早速、神棚に手を合わせ、ママの特製料理の前で酒盛りが始まった。
食事中といえ無言。
段々と重苦しく感じる空気の中、パパが口を開いた。
パパ:「時に…アキは彼氏は出来たか?」
私宛かよ!
聞きたい事は分かってる…ただ、直球で尋ねられないからって外堀から埋めてくの止めて!
それ私が傷付くだけだから!
妹:「ほう、そういう話題か、それなら」
パパ:「そ、そうだ!みんなでゲームでもしないか!?番犬ガオガオとかUFOクレーンとかバトルドームもあるぞ!」
なんだその話の逸らし方!
つーか、ゲームって卓上型!?
全てドラえもん放送中のCMで流れてたオーパーツじゃねーか!なんで所持してんだよ!
ママ:「パパ、妹ちゃんが話そうとしてるの、黙って聞いてあげて」
パパ:「む…」
さすがママ、一瞬でパパを黙らせたわ。
とうとう言うのか、さっき私も驚かされたからなー。
きっとパパもママも「結婚します」って言われてる思ってるから「結婚しました」って言われたらどんなリアクションになるのか物凄く心配だわ…
妹:「来年の秋頃、子供生まれるぞ!良かったな初孫!」
アキ・パパ:「「えええーーーーーーーーっ!!!!!!!!!」」
妹:「ヌハハ、良い表情貰った!ん?何故、姉まで驚いておる?先程、伝えたであろう?」
子宝の件は初耳だけども!?
妹:「サプライズ?」
もうソレ言いたいだけだろ!
お前、さっき結婚した事しか言ってなかったじゃねーか!
パパ:「結婚したぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
あ、そうか、それも言ってなかったっけ…。
どうすんだよ、パパは壊れ始めてるし、妹はケタケタ笑ってるし、ヒアルは無表情で煮豆を食べ続けてるし。
どう収集付けるんだよコレ。
ママ:「パパ、慌てふためくのは仕方ないけど、その前に言う事があるんじゃないの?詳しい話は追々聞いていくとして…妹ちゃん、潤さん、結婚おめでとう。そして子供を授かった事…おめでとう」
そうだ、本来どちらもとても嬉しい事なのに。
私もただ、驚いていただけで何も言ってないや。
アキ・パパ「「おめでとう」」
妹・ヒアル:「「ありがとうございます」」
きっと二人とも不安もあったよね、それなのに直ぐに味方になろうともせず祝福の言葉も投げかけられず…。
私は何をやってんだか。
妹、ヒアル、本当におめでとう。
ママ:「さあさあ、つもる話はバトルドームでもしながら」
結局バトルドームすんのかい!
やれやれ。言葉というボールを相手のゴールにシュートするのも大変だ。