初日の朝、久しぶりのネクタイと革靴を窮屈に感じつつ、満員電車に体を押し込んだところで、早くもいっぱいいっぱい。マスクの中で息を整えつつなんとか職場近くの駅に到着したものの、今度は鮨詰めの電車からホームに吐き出された人の波に圧倒されました。病気の前はどれも当たり前のことだったんですけどね。
職場が近づいてくると、どんな顔して現れたらいいんだろう、どんな反応されるのかなと考えて、なんだか緊張しました。実際には、自分の部署では暖かく迎えてもらい、案ずるより産むが易しでした。その後は、やがて適度に放置され、一人で自分の机周りの整理などをしたり、お見舞いに来てくれた同僚や上司に挨拶に行ったりして、難なく最初の一日を終えました。
入院生活は辛く長い闘いでしたが、戦い抜いたら戻る場所があるということは、最大の心の支えであったといっても過言でありません。働くだけ人生ではないのでしょうけれど、立身出世を目指した昔ながらの教育を受け、仕事を生き甲斐にしてきた人間としては、働けるのであれば働かなければ、半分死んだも同然なのです。
厚生労働省研究班によると、がんになった労働者の30%が依願退職し、4%が解雇されたと報告されています。これは本当に過酷な現実だと思います。退院したら戻ることができる職場があること、外来で治療しながら働くことができる仕事があることは、がん患者、がんサバイバーおよびその家族にとって、がんと闘い、がんと向き合って生活する上で、精神的にも経済的にも不可欠といっても過言ではありませんから。がん患者に対する理解が広がり、一人でも多くの患者・サバイバーが、その時の状態・条件に応じて、出来る範囲で能力を発揮し、社会に貢献できる場が与えられることを願います。雇用主側(特に中小事業者にとっては)も経営上容易なことではないことは分かりますが、2人に1人が一生のうちにがんになるのですから、すべての人が人ごとではなく、お互い困った時は助け合いだという視点で取り組んでいただきたいものです。
ちょっと熱くなってしまいました。職場復帰の日の話に戻ります。
久しぶりの職場ですが、そもそもたまにしか会わない相手だと10ヶ月もいなかったことに気付いていない人もいるもので、そんな人から「おっ、久しぶり!あれ、その頭どうしたの?」なんて屈託なく話しかけらると、苦笑いするしかありませんでした。(そっか、知らない人には坊主頭以外変わりないように見えるのか。)
病気になるまでは、よく深夜や土日もよく働いたものですが、今は、配慮してもらって、平日の日中だけです。(それに応じた減収は痛いですが。)
やはり体力が落ち、まだ慣れないため、平日は、毎日、職場へ行き、目の前の仕事だけに集中し、帰宅して明日の準備をするだけで精一杯です。早く慣れて、ちょうどいいペースをつかみたいところです。