フェミニンなドレスの女の人が ドラえもん を持つ ~かわいいに変身~
ドラえもん、ドラえもん、
という男の子の声が、聞こえました。
お母さんに抱っこされている、小さな男の子です。
電車の車椅子スペースにベビーカーを置いていますが、
スマホ片手のお母さんに、しがみついています。
電車の中は、空席がチラホラあり、
それでも、ドア際に立つ人も数人います。
しばらくして、
ドラえもん、と言いながら、男の子は抱っこされたまま、
ベビーカーはお父さんが押して、電車を降りていきました。
その降りたドアのわきには、
きれいな緑色のシフォンのワンピースを着た、長い髪の女の人が立っていました。
とてもフェミニンな感じです。
肩からは、白い小さなポーチを下げています。
そこにいました!
大きなドラえもんの、お人形がついていたのでした。
フェミニンな雰囲気に、ドラえもんなのね、と一瞬思いました。
どこか、そぐわない感じです。
愛嬌があるとか、かわいいとかは、安心感を与える、と
維摩会 春秋館でお聞きしました。
あぁ、これかしら、と思い直したのです。
フェミニンな雰囲気がとても素敵な女の人なのですが、
ともすれば、近寄りがたい印象になるかもしれません。
それを、
ドラえもんが、一気に変えているのです。
どこか、かわいらしい女の人に変わったように感じました。
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下車する駅になりました。
その女の人が立つドア側が開きました。
女の人のそばを通りながら、
私の視線は、ドラえもんです。
あら、このドラえもん、おにぎり持ってる…。
なぜ、好物のどら焼きじゃないのかしら、と思ったのですが、
茶色のどら焼きよりも、
海苔のついた三角のおにぎりの方が、
もしかしたら、見た目がかわいいのかもしれません。
ちょっと近寄りがたい雰囲気のフェミニンな女の人が、
おにぎりを持つドラえもん を持つ女の人、という、
とてもかわいい雰囲気に変わったのでした。