こちら側 と むこう側 ~短いトンネルを抜けると 雪~ | 今日の恵み  維摩会 春秋館の恵み

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          🌂 こちら側 と むこう側 雪だるま                            ~短いトンネルと抜けると 雪~

 

 

ここ数日は、

急に寒くなりましたね、

というのが朝の挨拶になっています。

 

この間、雪降りました?

職場の近くに住んでいる同僚が話しかけてきました。

 

私が住んでいるところでは、朝、みぞれが降った日のことです。

職場のところでは、朝、猛吹雪だったそうです。

 

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職場は盆地にあって、トンネルをいくつか通り抜けて通勤します。

山が連なっているところを自動車道路も線路も走っているため、

短いのですが、トンネルがいくつもあります。

 

職場の街までは1時間も離れていませんが、

それでも、特に冬の天気は、だいぶ違います。

トンネルを抜けると、雪、ということが時々あって、

家を出る時、小雨が降っていると、職場はほとんど雪です。

家を出る時に、雪模様であれば、職場はかなり雪が降っていて、

JRは遅れるか、止まるかになる可能性が大です。

かといって、

「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」というほど、

雪国として知られている場所ではありません。

トンネルのむこうも通勤圏になっている距離なのですが、

少し標高が高くなっているからでしょうか、冬場は雨が雪になるようです。

 

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川端康成の『雪国』では、トンネルのこちら側とむこう側が、ある種別世界になっています。

維摩会 春秋館で先日見せていただいた、

島根県にある黄泉平坂(よもつひらさか 黄泉比良坂)が思い出されました。

『古事記』に出てくる、

死者の国である黄泉の国と、この現世との境界の坂を言います。

黄泉の国から現世に戻った伊邪那岐命(イザナギノミコト)が、

重い大きな岩で、この境界をふさいで、

伊邪那美命(イザナミノミコト)と離縁した場所です。

なんとなく、トンネルのような雰囲気が感じられます。

 

職場までのトンネルも、こちらは雨、むこうは雪、と、違う景色が広がります。

それでも、トンネルのこちら側とむこう側とは、繋がっている同じ世界です。

黄泉平坂のこちら側とむこう側も、繋がっている世界なのだなぁ、と思ったのでした。