📽 パントマイム劇場 📽 ～すみません・どうぞ・ありがとう～
**** 第一幕 ****
新幹線の車内、
前の座席の人が、スッと立ち上がって、通路に立ちました。
その後ろには、通路を歩いてきた人が立ち止まります。
数秒、じっと、そのままです。
～歩いてきた人、すみませんと、声をかけないのかしら・・・～
立ち上がった男の人が、急に振り向きました。
すぐ後ろには、男の人が立っています。
びっくりしたように、のけぞり、自分の席に腰を下ろしました。
～すぐそばに座っていた私は、思わず、クスっと笑いが出たのですが、
すみません、の一言はないのだなぁ、と思ったのでした。
通路の人も、何事もなかったかのように、黙って歩いて行きました。
**** 第二幕 ****
ＪＲに乗り換えです。
一番後ろの車両の、一番後ろに立ちました
車掌さんのスペースに通じるドアがある以外は、壁と窓です。
３歳ぐらいのボクを連れたお父さんが乗り込んできました。
ボクと手をつなぎ、もう一方の手にはスマホです。
壁に寄り掛かると、スッと座り込みました。
～あら、ここでしゃがむのね、と思ったところ～
間髪を入れず、お父さんの膝の上にボクが、ちょこんと座りました。
～お父さんは、ボクの椅子を作ったのでした～
**** 第三幕 ****
次の駅で、何人か下車して、まばらに空席ができました。
ボクは、座席に座りたいようです。
お父さん椅子から滑り降りると、トコトコ歩いて空席に腰を下ろしました。
となりには、白いＴシャツのお兄さんが座っています。
お父さんが、ボクの前に立ちました。
白いＴシャツのお兄さん、スッと立ち上がると、斜め前の空席に移動です。
空いた席に、お父さんも無言で腰を下ろしました。
～動きは、きわめてスムーズでしたが、
どうぞ、も、ありがとう、もなかったのが、ちょっと残念に思ったのでした。
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まるで、パントマイムを見ているようでした。
欧米の人たちは、ちょっとした時には、すぐに 、
Sorry と謝ったり、Thank you とお礼を言ったりする、と
維摩会 春秋館でお聞きしたことがありました。
今日見かけた場面は、
何事もなく済んだ場面だったり、
席を譲る親切な場面だったり、なのですが、
一言あると、もっとその場が和やかになったに違いありません。
どうぞ、とか、
ありがとう、とか、
言葉に出せると、もっといいのになぁ、と思ったことでした。