コンプライアンスやらハラスメントやら ~横文字の過剰な使用~
カタカナ文字が増えて、ネットや辞典で確認しないとわからない言葉が増えてきました。
若い後輩が、
コンプライアンスやらハラスメントやら、
やたら横文字が使われて、過剰になってます、
と言うのを聞いて、
若い人にも、同じように感じている人がいるとわかりました。
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コンプライアンスを英和辞典で引いてみると、
「(要求・命令などへの)応諾、服従、追従、従うこと」などとあります。
二番目には、受け入れること、迎合性などの意味もありました。
13,900語収録されている中学生向けの辞典には、掲載されていません。
ネットで、コンプライアンスを検索すると、「法令遵守(じゅんしゅ)」とありました。
国の法律を守るのみではなく、
会社の規則やいわゆる倫理的なことがらを守ること
さらには、利益にかなうこと、という意味までをも含む言葉になってきているようです。
ハラスメントを英和辞典で引いてみると、
「悩ますこと、悩まされること、いやがらせ」などとあります。
用例として、「セクハラ」が挙がっていました。
同じ中学生向けの辞典には、やはり掲載されていません。
ネットで、ハラスメントを検索すると、
言葉の意味を挙げているサイトはあまり見つけられませんでしたが、
辞典と同じように、「いやがらせ」や「いじめ」のこととあり、
ひろくは「人権」の「侵害」になるとの説明もありました。
数十年前、バイオエシックス(生命倫理)が言われるようになったころ、
クオリティー・オブ・ライフを、なんと翻訳するのがよいか、
という議論を読んだことがありました。
英語のライフは、幅広い意味を含む単語で、ざっと見ただけでも、
命、生命、生命力、
一生、人生、
生物、生き物、
生活、
元気、
伝記、
などの意味があります。
ライフの意味として最初に出てくるのが、生命とか命ですので、
当初、クオリティ・オブ・ライフが「生命の質」と訳されたそうです。
ところが、生命に質の差はない、との批判が起こり、
「生活の質」と訳したり、いくつかの訳語を合わせて示したりするようになりました。
今では、医療の領域を超えて、日常的な用語になっているようで、
QOLと頭文字で示されている場合も見かけるようになりました。
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聞いたことのある言葉で示されると、
私などは、わかったような気になってしまいがちです。
言葉で示してもらったほうが、わかりやすいことも多いです。
維摩会 春秋館で学んでいる仏教では、
言葉の理解でわかったように思うことも、執着のひとつであるとみなされます。
しかも、言葉が何を示しているのかは、人により解釈が様々ですし、
世代によっても、意味するところはかなり異なってきます。
言葉が発せられた状況、背景をも考慮して、
全体の中で一つの言葉を理解するようにしないと、わからないものなのだ、と思いました。
そうであれば、英語は英語のままカタカナで表記して、
あえて日本語に置き換えないほうが、
かえって正確なのかしら、などとも思えたのでした。