別れ間際のアモレア頭領の言葉。
知的好奇心を満たすであろう秘密との出会いはなににおいても素晴らしいことだと私も思います。
モリネルタワーはアリアンからコースを取ると南方面にあたる。
ダメルからだと北にまっすぐ。
(今はテレポーターのそばにもう1人転送系テレポーターがいて、アリアン→ダンジョン→モリネルタワーって選択するとひとっとびで行けたりしますね。お金かかりますが)
さて今回の訪問先はモリネルタワー5Fにいるライトレー魔法師。
以前アイノ・ガスピル会長に頼まれて紫のネックレスを探していたときに知り合った人物だ。
静かに佇む彼に声をかける。以前お会いしたのですが覚えていますか?
相変わらず彼は一人で過ごしているらしい。
寂しいと思うこともないくらい一人で過ごしてきたライトレー。私と出会った時も一と話すのは50年ぶりとか言っていた。それにしてもどうして彼はこういう生き方を選択したのだろう。
……え?死にたくても死ねぬ体?
ライトレー師がちょっと聞き捨てならないことをいったけれども元々この人はあまり必要以上のことは語らない。
それは私と彼の距離感がそうさせているわけだし、告げないということは今の私が知っても仕方がないということかもしれない。
生きることが悩み、もがいたり足掻いたりすることだとすれば確かに私は生きてますねぇ。
ということはライトレー師は無為に時間を過ごしているだけになっているんだろうか。
以前私が紫のネックレスを探すため、その情報を知っている人物として貴方を紹介されました。
ライトレー師が語るロシペルは…RED STONEの完全体の完成した時にこの世を正しき方向へ導く者、らしい。
これはアイノ・ガスピル君も言っていた。
そのロシペルは統率の天使という二つ名をもつ。
でもその天使は天上界で一体どういう存在だったのか。なぜ今この世を正しく導く存在といわれるのか。
暗にこれ以上は知る必要がないとばかりに退出を促そうとする。
必死にすがる私にちらりと視線を向けて笑ってみせたライトレー師。
からかわないでください……。
今の私からすればライトレー師が一番「何か」を知っていると思ったのです。
それがダメなら、自分で調べろというならばせめて情報元になりそうな場所だけでも。
…しょうがない諦めよう。
ここまで来たのに手がかり無しか、と思うとたとえ私でも落ち込む。
そんな私を見ていたライトレー師がぽつりと。
西プラトン街道/アリアン東部地域に火の鳥の爪が落ちた?
ライトレー師はそれは「赤き空の日」の頃の話だ、という。
火の鳥の話は資料で目にしていたし、会長が夢の話として語ったのを聞いたので名前だけは知っていたけれどさすがにそれが真実だとは……。
それにしても遠い過去の話として記録にもあまり残ってない天上界や赤き空の日。
ライトレー師が語るそれらはそれまで知っていたこととあまり被る話ではなく、どちらかというと視点が違うせいか新事実だったりする。
私の質問はライトレー師にとってはどうでもいいことらしく話を進めてきた。
火の鳥の爪が何故落ちたかというと天使が振るった刃によるものらしい。
剛力無双の天使アズラエルという天使によって。
あれ、この天使の名前もどこかで。
……ダメルの歴史書4巻だ。
第4巻
『追放された副指揮官、天使ロシペルは天上界に反逆陰謀をたくらんでいた者だった。残り二人の上級天使であるアズラエルも、赤い悪魔の肉体に移り変わりRED STONEを奪取するたくらみに加わった。彼らは赤い悪魔の姿で、RED STONEのかけらを持っている悪魔たちの中で、一番中心的存在の悪魔である。』
とにかく天使アズラエルによって火の鳥は足を痛め、爪を落としたらしい。
ドラゴリッチは悪魔の一人で、どうしてそいつが天上界の生き物である火の鳥の爪を持っているんでしょ?
闇の世界に生きる者は光に憧れる。陳腐ではあるけれどそういうことらしい。
ライトレー師はドラゴリッチが火の鳥の爪を持っていることをよしとしていないらしい。
奪い返して来い、という。
無駄な戦い、しかも悪魔が飽いてということで躊躇していたらライトレー師は火の鳥の爪の秘められた能力について教えてくれた。
そしてそれが今悪魔側に作用して悪魔界の精力が増しているという。
……いずれはレッドアイに向かうのが容易に予想できる。それはマズイな。
この話をどうするかはお前次第だ、とライトレー師はいう。
心配してくださっている。
ありがとう。本当は心優しい、孤独を選んだ尊い人。