アクセルを少し開けると、少し冷たくて少し甘い空気が押し寄せてくる、まだ少し未練があったのかもしれないけれど何も言わずに出てきた、曇り気味の視界の隅が少しくすんで見えたのは雨雲の所為なのかもしれないけれど、何故か濡れてもいいと思えてしまうのでした。
アクセルを少し戻すと、まだら模様の紅葉と敷き詰められた落ち葉が見える、「もう終わりだよな」なんて言ったけど答えも聞かずに出てきた、雨粒模様の視界が色鮮やかになる頃には、雨は土砂降りになっていた、だけどそれでいいと思えてしまうのでした。
濡れたブーツは不快なだけ、少しでも許してしまえば全てに沁み込む、もう嫌だと言ったって最後には真っ黒に変わってしまう、そんなに欲しいならくれてやるなんて台詞が言えたならもっと違っていたのかもしれないけれど、もうどうでもいいと思えてしまうのでした。
アクセルを2~3度吹かしてみると、少し不機嫌そうな気持ちが伝わってくる、アスファルトはまだ濡れている、どんよりとした曇り空が映り込む水溜まりを踏みつけて出発すると、紅葉から虹が伸びているのが見えた、だけど何故か心は晴れないままでした。
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