すぐそこの山の陰までやってきた冬は、
私の熱量でも試すように下っ腹をゆっくり凹ましてハーーーアっと長い息を吐き出すと、
そこいら中を白く濁らし冷たい冷気に私を浸すと、温度計でも眺めるようにじっと見つめておりました。
思わずブルッと震えてしまいましたが、どんなに寒がって見せても信じてもらえなくて、上掛けのボタンを一つ外し、そこに溜まった真っ赤な液だめを透かして見せて、二度と上昇しないことを説明しましたが、ここまで濁ってしまった空の下では、
冷えて固まったコールタールのように黒くなっていて、ガラスのような艶やかな表面に冬空を写しておりました。
もうここまで来てしまったのかと、すこし緊張したように震える手で涙を拭うと、誰かのため息がガラス窓を曇らすように世界を白く濁らして何も見えなくしてしまい、一人じっと固まってずっと震えておりました。
ブルゥゥ、ブルゥゥと何度も震えると、余計に冷たい冷気がまとわりついて何度も何度も振り払おうと肌を擦りましたが、シロップにように滲みこんでくる冬空は垂れたコールタールのように滲んできて私をどんどん黒くしていくと、艶やかな冬の暗闇の中をはじかれたビー玉みたいに転がして、ビャーヒュービャヒューとけたたましく笑うのでした。
曇りガラスの向こうで、笑う顔が随分憎たらしくて、窓を曇らす白い息が憎たらしくて、白く濁る冬の空が憎たらしくて、私の奥から溢れてくるコールタールのような粘稠の中をもがいていると、突然真っ赤な殺意が燃え上がり全部燃やしてしまえと笑うので、口から大きな白い息をハーーーアっと長く吐き出すと、バーナーのように順番に火を付けていきました。
冬の熱量でも計ろうと、下っ腹を徐々に凹まして、ハーーーアっと長い息を吐き出すと、目の前が白く濁って何も見えなくなりましたが、真っ赤に燃える炎のおかげで
私の血潮が透けて見え、真っ黒な瞳に熱量が映し出されると、溶けだしたコールタールの冬の夜空に私が映し出されておりました。
よく分かりませんがそんな日もアルのでしょうか
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