宇宙探査艦オーヴィルを見ました。
もうこのドラマが私の癖(へき)にハマりまくり。
特に表題のケイロン星の回は、思うところがたくさんあったので感想にしてみました。
以下ネタバレ
この回、原題は「Identity」アイデンティティ
つまり、「自分らしさ」という意味なんですよ。
邦題だとラストの展開がご都合主義に見えるけど、「自分らしさ」で見直すととても深い内容に見える不思議。
見終わった直後は、「ご都合主義やん」「最後なんなの?」と怒りが湧いたものの、「でも違う気がする…」と違和感が…
気持ちを整理して素晴らしさを再確認し、私なりの解釈をつけたのがこの感想です。
以下本格ネタバレ
ざっくりあらすじとしては、
探査艦オーヴィルの科学部長を務める人工生命体アイザックが突然の停止。
いくら発達したとはいえ、連合国での技術では手が出せないので故郷であるケイロン星へ運び、相談することにした。
ケイロン星は連合非加盟国。
アイザックの治療ついでに、あわよくば連合に加盟してもらおうと計画していたが、実は、ケイロン星はアイザックで充分情報を得たので、有機生命体抹殺に乗り出そうとしていた。
で、なんやかんやあって、アイザックは故郷を裏切って有機生命体側についたことで連合国はギリギリのところで勝利したのでした。
というもの。
この話のすごいところは、壮大な前振り。
アイザックは、ロボットの体ながら、シングルマザーと恋人同士になって、連れ子とも仲良し。
しかも、シュミレーション装置によって夜の営みまでちゃんとこなしているという仲良しっぷり。
父親として認められそうなところまで、この回の前に数回に分けて描かれてるんです。
しかも、アイザックに感情がないことを恋人も子供も受け入れているというすばらしさ。
日本ならすぐに「無機物に感情が生まれました」という展開になりそうですが、そうならないところがにくいんですね。
しかも、アイザックに感情がないことを描き倒したあとにこの回をもってくるのが素晴らしい。
そして、私的に
アイザックには、感情はないけど、「自分らしさ」はあった。
というのがこの回のミソなんじゃないかと思いまして。
後半がね、すごくご都合主義に見えるんです。
感情がないから、なぜ急に反撃したのかよく分からない。
あんだけ「父性はないよ」というそぶりを見せておいて急に父親みたいなふるまいするから、度肝を抜かれます。
でも、見終わったあと、アイザックになって考えてみると
「いや、確かに裏切りたくなるわ」と思えるんです。
ここで、アイザックの思考になって物語を追ってみましょう。
アイザックは、有機生命体の情報収集のために生み出されました。
創造主に虐待されて全滅させた世代の後継機になります。
もともと使命が終われば停止することは理解しており、「停止命令」が来るまでせっせと情報を母星に送っていました。
アイザックにとって「死ぬこと」は怖くなかったのでしょう。
突然停止しても何も感じなかったし、ケイロン星で目覚めたときも、「あれ?なんで」というテンションでした。
けれど、有機生命体たちは、自分と丁寧にお別れ会を開いてくれたり、
恋人に「子供はあなたを愛してたのよ」と泣かれたりすることで、
感情はないけど、「個人として尊重してもらえている」という認識はあったのではないでしょうか。
対して、母星の仲間たちは、自分も含めたくさんの「個人」を虐殺しようとしました。
もともと情報収集をするために作られた個体です。
個人しかもっていない「情報の形」に価値を見出していた可能性があります。
けれど、母星の人間は違った。
「有機生命体」とずっと触れていたという希少性の高い「アイザック」さえ価値を見出そうとしないばかりか、「名前を変えろ」とまで言い出した。
「奴隷を生み出す有機生命体を抹殺することが必要」と言っているおまえが奴隷を作り出そうとしてるやん!とツッコみたくなったのかもしれません。
さらに
「同情してるんだろ」=(裏切る気か)
とののしるケイロン人はなんと人間らしいことか…
おまえ感情ありまくりやんけ!
「虐待された個体は虐待しか生まない」という悲しい連鎖も描かれているのです。
「名前を変えろ」に従わなかったところから、彼の反逆がはじまります。
連れ子のタイを助ける形で反逆するからちょっと分かりにくくなりますが、母星のやろうとしていることに同化できなくなって「自分らしさ」が生まれた、として見るととてもドラマチックに思えてしまうのです。
そこまで考えて作られていたのかはさておき、感情がないからたまに不気味に見えるアイザック。
今後どんな風に活躍するのか楽しみです。
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