ココログからアメブロに引越してみたけど、さっぱり分からない
元のブログのリンクも貼れない
元に帰る
では~
ブログの引越しはしてみたけど、アメブロさっぱり分からない
しばらく下記でお楽しみください
http://lets-take-it-easy.cocolog-nifty.com/
しばらく下記でお楽しみください
http://lets-take-it-easy.cocolog-nifty.com/
気づいたら「援交」にはまってた。
きっかけなんか忘れた。
鍵の掛かる引き出しの奥のお菓子の箱
ぐちゃぐちゃになったお札が何枚もたまってる。
抱かれることなんて、なんともない。
ただ、「寝る」それだけ。
裸になって、入れて終了。
これに価値があるかは分からないけど、オヤジはひどく価値をつける。
教室で何の価値もない私が、特別になる瞬間。
特別になって、後にはお金が残る。
残ったお金は、私自身。
それでよかった。
なにか間違ってる気がしたけど、捕まるのは相手で私じゃない。
「今日、ちゃんと塾行ったの?」
母さんが、テーブルを拭きながら私に問う。
「行った」
「いい?普通にしてるのよ。
あんたは、真面目で、成績もいいから安心してるけど、普通にしてくれるのが一番なんだから」
「分かってる。
部屋行くね」
このままテーブルに座っていれば、父さんへの愚痴を聞くのは間違いない。
私は早々と部屋に退散した。
―普通
という母さんの言葉を聞くたび、どこかすっぱい感情が私の胸を満たす。
普通に
フツウに
ふつうに
目立たず
はぐれず
そのままで
がんばらなくていいから、
横並びでいなさい。
という母さんの言葉に息苦しくなる。
母さんは、私じゃなく、フツウのワタシが欲しいのだとよく知っている。
鍵を回して引き出しを開け、お菓子の容器を見る。
その中に入ったお札を意識しながら、ネットを立ち上げた。
「孫悟空」
とあだ名の先生がいる。
かっこよくて、明るくて、おもしろくて、うるさいこと言わない。
「杉先生!口元にご飯粒ついてる」
酒井がそう言って、うれしそうに手を伸ばし、ご飯粒をつまんで食べた。
「あ、おま、なにやってるんだよ。
きたねーぞ、それ」
「いいーんだもん」
きゃあ、って明るく笑いながら酒井は、はしゃいでる。
私は、目の端でそれを見ながら、バッカみたいとノートに目を落とす。
次の授業は、ミニテストするから、軽く復習。
ひとつひとつの積み上げが大切。
どんな小さなテストだって落としたくない。
待ち合わせしたオヤジと並んで歩く。
雑踏の中、親子にしか見えない私たち
今日のオヤジは、まあ、普通。
ネットでひっかけて、場所を指定して、あんまりにもひどい時は、逃げることにしている。
今日は、まあ行ってもいいかな、っていうラインを超えていた。
いつも学校から遠いホテルの近くで会って、そのままホテルへ直行する。
ホテルでご飯食べればいいし、お互い見られなくて済むし。
ホテル街の入り口まで来たとき、
「村上」
と言われてぐいと腕を引かれた。
びっくりして振り向くと、「孫悟空」杉先生だった。
―やっべ
心臓がぎゅうってつかまれた感じがして、私は、つばを飲みこむ。
「おまえ、呼び出しすっぽかすな」
―呼び出し?
「ほら、いくぞ」
痛いほど腕を引かれてぐいぐい歩かされた。
「痛い、先生」
しばらく歩くと頭が冷えてきた。
―前みたいに、丸め込めばいいか。
あせった自分がバカみたい
どーせ、こいつだって男なんだし。
薄暗かった周りは、陽が落ちてどんどん暗くなる。
「先生、私呼び出されたって聞いてません」
杉先生は無視して自動販売機の前に立つと、小銭を放り込み、
「何がいい?」
と言って振り返った。
先生の整った顔を自動販売機の逆光が照らす。
「コーヒー。先生、手、離してもらっていいですか」
「子供は、これでも飲んでろ」
意見は無視され、くそ熱いポタージュスープを掴んでいない方の手に無理矢理つかまされた。
「おごったんだから、本当のこと言えよ。
さっきのは誰だ?」
「親戚のおじさん」
「そういうことにしといてやるから、もうすんな。
おまえは、すっげーいい子なんだから」
“いい子”と言う言葉は私の神経を逆撫でした。
杉先生は「みんなは、とってもいい子なんだから」という言葉を毎日のように言う。
杉先生は、本気でその言葉を使っている貴重な生物だけれど、その言葉に自分がそぐわないことをよく知っている。
―おとなしくしていればいい子
よく分かっている
だから―おとなしくしている
「先生もする?」
「何を?」
「親戚のおじさんとおんなじこと」
前の先生はそうした。
初めて見つかって、震えが止まらなくって、
“先生、タダでするから、黙ってて”
て口走ったら、そのままホテルに直行だった。
―大人ってこんなもん
そう思ったら、何も怖くなくなった。
「バカにすんな」
ひどく軽蔑したような顔をした―と思ったら、くしゃっと顔をゆがめた。
「おれもたいがいバカなことしたけど、お前は、違う意味でバカだ」
「バカバカって言わないでもらえますか?
私成績いいほうだと思うんですけど」
杉先生は、手を伸ばし、私の頭をぐりぐりと撫でた。
「おまえ、本当は、甘えたいだけだろう。
甘える相手を間違えるな。
自分を大切にしろ」
不覚にも―涙が出た。
くやしくて下を向いた。
「…もう、やめてもいい?先生?」
「当たり前だろ」
歯止めがきかなくなっていたことはなんとなく感じていた。
だれかに止めて欲しかった。
―誰にも言えなかった
他の子ができないことをしてる優越感
いけないことをしているスリル感
そこから見え隠れする罪悪感
いろんなものをだんだんもてあまして、自分がまっくろになって行く気がした。
「先生、ちょっと待ってて」
私は夢中になって駆け出そうとしたら、腕がひっぱられた。
「センセーまだ持ってたの?」
「だいじょうぶか?」
「先生、絶対ここにいてね」
そう言うと先生はやっと手を離した。
夢中で家に戻り、部屋に駆け込み、鍵を取り出して引き出しに突っ込んだ。
お菓子のカンを取り出してバックに突っ込む。
いつもワタシを確かめさせてくれていたカンは、ひどく汚らわしいものへと変わっていた。
少し迷って先生のところに戻ると、誰もいなかった。
白々しい光を放つ自動販売機の下で私はしゃがみこんで顔を覆った。
涙は出なかった。
「おお、やっと来たか」
「先生、どこにいたの?」
声が泣いたときみたいな声になってた。
「そこのコンビニ。
おにぎり6個目で、村上登場!
おめでとー
ジャンプもサンデーも読んじまって次何しようか思いつかなくててさー
なんだよ、そのうらめしそうな顔は?
こんな何にもないところで一時間、何の罰ゲームだよ」
「先生、見て」
私は、カンを取り出して蓋を開けた。
わさりとくしゃくしゃの万札がもりあがった。
「村上、それ…」
私は、ライターで、ワタシに火をつける。
先生は、何も言わずに見てくれた。
二人の間で、ワタシは浄化され天に上がる。
「もう、すんな」
「うん」
煙のあがる空に星は見えなかったけれど、私にとってひどく美しい空だった。
