入院2日目 | 甲状腺乳頭がんになりまして

甲状腺乳頭がんになりまして

2011年いきなりのガン告知。まさに「がーーん!」。でも負けてたまるか!このブログが同じ病気と闘う人たちの役に立てますように…。

朝6時ごろから同じ部屋のおばぁちゃんたちが動き出す。

やっぱり病院の朝は早い。

だって消灯9時だもんね。

この波に乗り遅れてはまずい。

若い人は朝寝坊やね~とか言われたくないし。


カーテンを開ける。

「おはようございます」

「あら~ねぇちゃん、昨日遅かったね~。

先生からの話、長かったんやね~。」


そのあと顔を洗って歯を磨いて…。

デイルーム?と呼ぶのか、病棟の端っこにあるイスと机がいっぱいある場所へ。

ここからの景色はマジで最高。

海や大きな風車や、とにかく田舎の自然いっぱいの景色が見渡せる。最高。

出勤してくる車がいっぱい駐車場に飲み込まれていく。

こういうの見るの好きだな。


で、朝食。

もう1年も前だから何が出たかは忘れたけど、やっぱり病院食は質素だ。

でも3食しっかり食べていると間食したいという気持ちがなくなる。

ダイエットにはいいかも。


何時だったか忘れたけど、今日のスケジュールを言い渡された。

麻酔科とか、あとはどこだったっけ。

2か所くらいをはしごするように言われた気がする。

あと、主治医の診察も受けることになったような。


どんな順番で回ったか、まったく覚えてない。

主治医の診察の前に、確か教授の診察を受けた気がする。

相変わらずサバサバと。淡々と。

そしてボールペンで適当に私の首に手術で切るところを書いていく。

そんな適当でいいんですか?という書き方。

しかも今日お風呂に入るから消えますけど?

「あー、いいよいいよ。消えても。」

は?ほんと適当。


あとは、肺活量のチェックみたいなところへ。

カプセルみたいなところに入って管に向かって思いっきり

「ふーーーーーーーーーーーー」っと息を吹き込む。

かなりつらかった。

でも担当の技師?さんがおもしろすぎた。

TDLとかのアトラクションの人みたいなノリ。

毎日こういうのばっかりしてるのかな。いやにならんのかな。(余計なお世話)


そして次は麻酔科。

いつも外来で来ているエリアをあっちへ行ったり、こっちへ行ったり。

いつもは診察後家に帰れるのに。私服なのに。

今日は帰る場所は病室。そしてパジャマ。

いつもと違う。それが妙にさみしくて。


そして麻酔科に呼ばれて入ると、長身ですらっとした私くらいの若い女医さんがいた。

にっこり自己紹介をしてくれ、手術中の麻酔についていろいろ話してくれた。


甲状腺乳頭がんになりまして

甲状腺乳頭がんになりまして


全身麻酔をするにあたって、気管挿管?をするときに歯を傷つける恐れがある

って、知ってたけどそれを言われると怖くなる。

全部自分の歯だし、ちょっとやそっとじゃ折れたりかけたりしないはずだけど

でも麻酔から覚めて、はっと気が付くと前歯がない!とかは嫌だ。

慎重にお願いします!と伝えた。


一通りのことをざーっと、でも機械的ではなく説明してくれた。

笑顔もあったし、優しかった。

この人、いい人やと思った。

今までであったこの病院の中で、一番素敵な人やと。


説明後、書類にサインをして、さぁこれで終わりかなと思ったら

それまで「ON」モードだった女医さんが、ちょっとだけ「OFFモード」になって

「大丈夫?心配だよね。」

と私の手に自分の手をちょっと乗せてくれた。

「私、同じ年なんです。」と、私と同い年と教えてくれた。

そうなんだー。すごいな、同い年でバリバリの女医さんか~。と思いつつ、

「怖いよね、つらいよね。」

と、初めて医者にこの言葉をかけてもらえた。

そこからもう涙があふれてきて止まらなかった・・・


初めて自分の気持ちに寄り添ってもらえた気がする。

今までは上から機械的な話をされてばっかりだったし、

大勢の患者の中の一人にすぎない私にこんな言葉をかけてくれる人なんていなかった。


医者という上の方の人が、私のすぐ隣に来て

まさに「気持ちに寄り添って」くれた。


嬉しすぎた。

誰にも「怖い、つらい」って言えなかった。

甲状腺ガンなんて、ガンの中でも一番おとなしいガン。

手術だって大したものでもない。すぐ退院できる。

他にもたくさんの人がなってるんだし。

そう思うと「怖い、つらい」だなんて私には言う資格がない気がしていた。


でもこの麻酔科の女医さんは、違った。

言ってくれた。

嬉しくてありがたくて泣きまくった。


忙しいだろうに、少しだけ私が落ち着くまで待ってくれた。ティッシュもくれた。


そして、手術室で好きな音楽がかけれることを教えてくれた。

どんな音楽でもいいって。

しかも先生が手配してくれるって。

もし音源がなければごめんね、って。


そんなことをしてもらえるなんて思ってもみなかったから嬉しかった。

必死で考えた。どんな音楽を聴きたいか。


好きな音楽はいっぱいある。

KEMURIも好きだし、ゆずも好き。

ラルクも黒夢も好きだった。

でも手術室で黒夢はないな・・・笑


うわー。どうしよう。すぐ決められない。

30秒ほど悩んで決めた。

秦基博 「鱗」

大好きな声。メロディー。

でも、残念。先生はこの歌を知らなかった。

「うーん、ごめん、でも探しとく!絶対見つけるから!」

その言葉が嬉しかった。

もし明日、この曲が流れていなくてもいい。先生からいっぱい温かい言葉をもらえたから。


昨日からのモヤモヤがこの女医さんによってかなり払拭された。

すっごい感謝している。

いつかお礼を言いに行こうと思いつつ行けてない。。。


それにしてもなぜこの曲をとっさに思いつき、リクエストしたのかは謎。

好きは好きなんだけど・・・。




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