先日、家電量販店で、ある親子連れに遭遇した。

両親と、小学校低学年位のお兄ちゃん、幼稚園位の弟という4人家族だが、

その様子を見て、思わず考えさせられてしまった。


両親は、それぞれマッサージチェアに乗っている。

初め子供たちはどこか別の売り場にいたようなのだが、

すぐに飽きて、親の元へやってきた。

「ねーまだー?」

すると、驚いたことに、両親は聞こえぬ振りである。

子供たちは痺れを切らして、親の靴を振り回したりして騒ぎ出した。

すると…


「うるさいっ!疲れてるんだから。向こう行ってなさい!」


僕は開いた口が塞がらなくなってしまったが、さらに驚くことには、

父親のほうはこの状況の中、気持ちよさそうに寝息を立て始めてしまった。

お兄ちゃんは弟を引き連れて、一応ほかの売り場を見に行くのだが、

数分すると戻ってきて、上のやり取りを繰り返している。

さすがに周りのお客さんも迷惑そうだ。

しかし、結局この親はマッサージのコースが終わるまでの15分の間、

絶対にマッサージチェアを下りようとはしなかった。



僕は思わず腹が立ってしまった。

子供にとって、15分待たされることがいかに長く感じられるか。

子供が騒ぐことによって、周りにかかる迷惑を考えない無神経さ。


しかし、僕はさらにもっと良からぬものを連想してしまった。

それは、近年増加している、

母親が車の中に幼児を放置してパチンコに熱中してしまい、死亡させてしまう事件である。

車内放置で死亡させた場合は、立派な虐待事件である。

マッサージに没頭して子供を省みない親と、

車に子供を置いたままパチンコに熱中してしまう親を重ね合わせてしまうのは、飛躍だろうか。


ちなみに、児童虐待の摘発件数は、年々増加している。

通報件数が増えただけで、潜在的な虐待の数の変化はわからないとする考えもあり、

一概に虐待が増えているとは言えないようだが、気になるデータだ。


別に、僕が遭遇した家族の例は、虐待というほど大げさなものではないかも知れない。

だが、事件には至らない「虐待の芽」は、身近なところにあるのかもしれない。