中国でのマーケティングは数値だけでは測れない。中国進出をある程度果たした日系企業ほど、この点を肝に銘じている。もちろん資料や戦略を支持する数値が全くないというのは論外なのだが、数値があればそれでいいのかというと全然違う。

たとえば日本の自動車メーカー各社が中国でどの程度健闘しているかを数値化した場合、中国全体の自動車から見たシェア数だとか、欧米車や韓国車の販売数との比較や時系列上の推移だとか、中国の国産車と外車とのシェア比較や推移といった数値を持ってくると、日本の自動車メーカー各社の一体どこがダメダメなのでこんな情けないことになるのかと誰しもが頭を抱えることになろう。数十年前からそれなり健闘しているのに、どんどんと追い抜かれているからだ。

だがこれらの「数値」をいくら並べても、あまりというか全然参考にならない場合もまた多い。自動車を例に話を続けると、中国における日本の自動車の知名度の高さは日本の自動車メーカーがこれまでにはたいてきた広告費にほぼ比例しているに違いなく、累計から見れば欧米車や韓国車と比べても遜色ないはずなのに、売り上げだけが思うほどには伸びていない。偏見や敵がい心から日本車が嫌われているのかというとそうでもないのだが、正直それほど好かれてもいない。

では表面的な「数値」以外の一体どんな要素が関係しているのかと言えば、中国各地における日本車取引の際のマージンやリベートの大小、流通上でのそれら利潤の上乗せのしやすさ、販売側(エンドユーザーではない)の売物としての総合的評価といった要素がある。簡単に言えば、日本の自動車メーカーはモノ作りに励み、広告にもそれなり励んだが、売り込みの点ではお世辞にも励んでいるようには見えない。

じゃあ一体どうすればいいのかというと、中国人が売りやすく儲けやすいような車を作りなさいということになるのだが、その際にも中国の市場原理をマーケティングだけで、つまり表面的な調査や統計だけで判断しないようにと、ここに改めて提言したい。女性向けの赤い車が売れているようです、じゃあ女性好みの赤い車を、では今後の売り上げもそれなりしか伸びまい。中国の市場原理は、それら表面的マーケティングの外で作用している。