中国進出企業が日本でそれほど多くない理由は何か。一番の理由は中国や中国進出に対する風評、わけても中国進出企業に対する風評があまり良くないという点にあるのかもしれない。簡単に言えば、中国進出企業が失敗した云々といった報道やウワサを、現実にしろ脳内妄想にしろあまりに大きく考えてしまっていることにあるのだろう。しかし、実はそれだけではない。

 最近のシャープと台湾の鴻海(ホンハイ)との「提携」劇をご覧になればお分かりの通り、中国進出企業として中国の会社と「提携」を始めることと「提携」を成功させることとは全く別の事柄だ。つまり提携ないしは進出を始めるのも難しいのだが、提携ないしは進出をし続け、しかも成功を収めるのはさらに難しい。一体どこに問題があるのか。

 シャープの場合、そもそも台湾の会社なんかと提携するのがおかしいという言い方は当たらない。実際、選択肢はそれしかなかった。しかもシャープの目に鴻海(ホンハイ)は信頼できる提携先、いわば海の向こうの日本の友好国の友好企業のように映っていたことは疑えない。自分たちの言い分を聞いてくれシャープの看板を守ってもくれると期待した。だから少し率直な言い方をすれば、シャープは恐らく、どの国のどの企業と組んでも同様の苦境に面する恐れがあった。さらに言えば、シャープには海外の提携先と話を丸く納めるだけの知恵や知識に欠けていた。

 実はここに、中国進出企業が日本でそれほど多くない真の理由が見え隠れしている。日本企業はおしなべて海外進出が下手なだけでなく慣れてもいないので失敗しやすく、結果として容易に負の報道や噂、現実にしろ脳内妄想にしろ負のスパイラルに陥りがちなのだ。シャープについて言えば、そもそも単独で海外、しかも台湾(大中華圏)の会社との提携を進めるだけのモノがないことを最初に素直に認めて、対中華系企業の進出支援をしっかり受けるべきだった。そんなことにお金は出せないという妄言、率直に言えば驕りもまた、日本に中国進出企業がそれほど多くない理由であろう。