「奇想天外！空飛ぶ鉄腕美女ワンダーウーマン」(1975)

昔懐かしいTVドラマのパイロット版をU-NEXTで観ました。

監督はレナード・J・ホーン。オープニングクレジットはコチラ。

第二次世界大戦下のベルリン。連合国側のアメリカと熾烈なスパイ合戦を繰り広げているナチス・ドイツ軍のブラスコ大佐は、アメリカの最新鋭爆撃機の完成を阻止するため、部下が操縦する戦闘機をワシントンに送り込んで事前に爆破しろという指令を出します。しかし、その作戦はアメリカ側に筒抜け。なぜなら、ブラスコ大佐直属の部下ニコラス(ヘンリー・ギブソン)がアメリカのスパイで、その情報を伝書鳩(!)でアメリカ側に流していました。米軍のブランケンシップ将軍は、陸軍省情報本部の名パイロットであるスティーブ・トレバー少佐(ライル・ワゴナー)にアメリカ上陸前にドイツ戦闘機を撃墜するように命令。一方で、米軍側にもナチス・ドイツのスパイがいて、トレバー少佐の秘書をしているマーシャ(ステラ・スティーヴンス)が逐一、ブラスコ大佐に情報を流しているため、どっちもどっちです。激しい空中戦の末、任務に成功したものの、パラシュート落下中にドイツ兵に撃たれたトレバー少佐はバミューダトライアングルにある島に意識を失ったまま降下します。砂浜に舞い降りたトレバー少佐を見つけたのは、たまたまお散歩していたダイアナ(リンダ・カーター)。

この地は、地図にない島"パラダイス・アイランド"。超人的パワーを持つ不老長寿の女性だけの種族"アマゾン族"がひっそりと暮らしている島でございます。ダイアナは種族を統治する女王ヒポライト(クロリス・リーチマン)の娘。つまり、ダイアナ王女です。島の存在が気づかれないようにトレバー少佐をアメリカに送り届ける危険な任務をする人物を選定するため、女王ヒポライトは大運動会を開催。最終決戦を制したチャンピオンは女王に内緒で出場していたダイアナ王女でした。アマゾン族の超人パワーを島の外でも発揮できるゴールド･ベルトと特製コスチュームを女王ヒポライトから授かったダイアナはワンダーウーマンとなって、透明飛行機を操縦してトレバー少佐をアメリカに送り届けます。そのへんにいた銀行強盗を軽く退治したり、資金稼ぎで銃弾をはじき飛ばすショーに出たりしながら、部下の作戦失敗を知ったブラスコ大佐自らが操縦する戦闘機との対決を制して、アメリカで暗躍するマーシャをはじめとするナチス・ドイツのスパイをなぎ倒したワンダーウーマンは、陸軍情報本部所属の海軍中尉ダイアナ･プリンスという世を忍ぶ仮の姿でアメリカに留まることになって・・・というのが大まかなあらすじ。

原題は「The New Original Wonder Woman」。ドラマシリーズとして放送される前にパイロット版として制作された1本。日本でテレビ朝日系の「土曜映画劇場」で放映されて、その後のドラマシリーズ放映となったようです。自分が再放送で観ていた時は日本語の主題歌があった記憶があって、たぶん第2シーズン以降だったんだと思われます。主役の声と主題歌担当が由美かおるだったことは知りませんでした。本作は、のちに映画化もされた「ワンダーウーマン」(2017)と同じく、ダイアナがワンダーウーマンとしてアメリカにやって来た始まりを手堅く描いたエピソード。ほど良いユルさのある作りに懐かしさを感じます。どう見ても一人だけ浮いた存在なのに、リンダ・カーターの凛としたたたずまいで納得させられてしまいます。大胆にも情報本部から長距離電話でナチスと連絡を取り合うスパイ演じるステラ・スティーヴンスとのファイトシーンも見どころの一つ。なお、パイロット版を監督したレナード・J・ホーンはドラマシリーズも監督予定だったのに、心臓発作により48才の若さで亡くなってしまったそうです。