「天使のはらわた赤い教室」(1979)

名美シリーズの傑作の1本をU-NEXTで観ました。

監督は曽根中生。予告編はコチラ。

うらぶれた温泉町でブルーフィルムを鑑賞した村木(蟹江敬三)は、教室で男子高校生に犯されている女優に一目惚れ。エロ雑誌の編集者をしている村木は、東京に戻っても女優のことが頭から離れません。ある日、いつもの撮影現場であるラブホテルに行くと、受付にいたのがその女優(水原ゆう紀)だったんでビックリ。名美と名乗る彼女をさっそく誘い出して、フィルムに映ったあなたが忘れられないこと、自分の手がける雑誌のモデルになってほしいことを伝えます。これまでにもフィルムを見て口説いてきた男が何人かいたようで、さっさと抱きなさいよとホテルで体を差し出す名美。体目当てだけではない純愛であることを力説する村木は、翌日改めてディナーをしようと約束して別れます。しかし、翌日に警察の手入れで拘束されてしまったため、名美に会うことができなくなってしまいます。

それから三年後。村木は同じ仕事をしているものの、別の女と結婚して子持ちのパパになっていました。仕事帰りのある夜、場末のバーのホステスになり果てた名美に出くわしたんでビックリ。あれからずっと探していたんだと勝手なことを言いながら名美を連れ出そうとすると、ヒモのマー坊(草薙良一)にボコボコにされてしまいます。諦められない村木は翌日も名美のいるバーにやって来て、またしてもマー坊に殴られて気を失います。バーの二階で目覚めると、名美が数名の観客を相手に白黒ショーを演じている姿を目の当たりにして愕然とする村木。ここから出ようと訴えるも、あんたがこっちの世界に来たらと捨てセリフを吐く名美。泣き言しか言えない村木はその場を去るしかなく、互いに背を向けてそれぞれの日常に戻っていく・・・というのが大まかなあらすじ。

劇場公開は1979年1月6日。同時上映は「宇能鴻一郎の濡れて開く」。劇画「天使のはらわた」を映画化したシリーズ第2弾で、原作者石井隆と監督曽根中生によるオリジナル脚本。とことん堕ちていく女と、女に翻弄されながらも何もできないでいる男によるノワール。ありきたりなストーリーはさておき、夜、ネオン、雨、花といった石井隆の世界観を彩るモチーフでビシッと決めた画面が非常にクール。ポルノ映画らしいサービスショットも挿入しながら、夜の野外シーン、配色や照明に凝った室内シーンなど見どころ豊富。冒頭のフィルムは演技ではなく、実際の暴行を撮られていたという悲しい過去を持つ水原ゆう紀の官能的な演技がたまりません。対する蟹江敬三のハードボイルドなたたずまいも良いです。かつては演歌歌手で名美のヒモになっている草薙良一も鬱屈した男を巧演。刑事ドラマの悪役のイメージが強い俳優さんでしたが、今年8月に亡くなられたとのことで、ご冥福をお祈りいたします。

天使のはらわた赤い教室 [DVD]

Amazon（アマゾン）

『「ヌードの夜」』「ヌードの夜」(1993) 先日亡くなった石井隆監督の日本製ノワールを観ました。初見。脚本も石井隆。予告編はコチラ。バブル末期の話。上京して20年、故郷…

ameblo.jp

『「黒の天使 Vol.1」』「黒の天使 Vol.1」(1998) 葉月里緒菜(現・葉月里緒奈)が殺し屋を演じるシリーズ第一弾を観ました。初見。原作・脚本・監督は石井隆。予告編はコチラ…

ameblo.jp

『「黒の天使 Vol.2」』「黒の天使 Vol.2」(1999) 天海祐希が殺し屋を演じるシリーズ第二弾を観ました。初見。原作・脚本・監督は石井隆。予告編はコチラ。指令を受けて、ヤ…

ameblo.jp

「天使のはらわた 赤い教室」

「天使のはらわた赤い教室」