「ポケットマネー」(1972)

ポール・ニューマン、リー・マーヴィン共演の地味な映画を観ました。

監督はスチュアート・ローゼンバーグ。予告編はコチラ。

キャロル・キングの主題歌で始まるいい雰囲気のオープニング。ジム(ポール・ニューマン)はアリゾナ州在住のうだつの上がらないカウボーイ。つい最近に破産して、借金を抱えて、別れた嫁にも慰謝料が払えなくなって困っていたところ、知人ストレッチ(ウェイン・ロジャース)に紹介されて、いかにも悪どそうな牧場主ビル(ストローザー・マーティン)の仕事を請け負うことに。メキシコで250頭の牛を買い付けてアリゾナに連れてくるという内容。一人じゃこの仕事はムリだと思ったジムは、メキシコにいる古い友人レナード(リー・マーヴィン)の元を訪ねて、一緒に仕事をしようと誘います。レナードは一攫千金を夢見てメキシコに来たはいいものの、安宿に入り浸って毎日酒を飲んでるだけのダメ人間。

とりあえず、お人好しのジムとノーテンキなレナードという情けないコンビで仕事に取りかかりますが、商売下手な二人がスムーズにやり遂げるはずがなく、地元牧場主との牛の買い付け交渉も苦戦。テキトーにカモられながらもなんとか商談が成立。地元住民とケンカして刑務所に放りこまれたジムを出すために多額の保釈金を使ってしまい、予想以上にムダな経費もかさみます。ようやく町とおさらばした二人に待ち受けるのは250頭の牛の輸送。民族大移動のように牛を移動させて、検疫チェックの厳しい国境越えもクリアして列車で米国入り。無事に牛を届けたと思ったら、依頼主はギャラを支払ってくれず・・・というのが大まかなあらすじ。

原題は「Pocket Money」。日本では劇場未公開(未DVD化)で、「おとぼけカウボーイ」というトボけた邦題でTV放映されたことがあるようです。チャップリン達が創設したUnited Artistsに倣って、クリエイティブ上の制約を極力受けないで出演できる作品づくりをというんで、1969年にポール・ニューマンがシドニー・ポワチエ、バーブラ・ストライサンドと共に作って、しばらくしてスティーブ・マックイーン、ダスティン・ホフマンも参加したFirst Artistsの第1回プロデュース作品。First Artists自体は「ゲッタウェイ」(1972)、「スター誕生」(1976)がヒットした以外は商業的成功には至らず、1980年には解散となってしまいました。本作はオスカー俳優でもあるリー・マーヴィンを招いて、ポール・ニューマンと最初で最後の共演になった現代版の西部劇。しかし、劇場未公開となったのも頷ける中途半端なテイストの作品に終わっていました。

魅力のない原因は、二人とも長所のないポンコツ男を演じていること。立ち姿からしてダサい感じを出しているポール・ニューマン。頭の回転も悪く、終始失敗ばかりを繰り返します。友人役のリー・マーヴィンも口だけは達者だけど、腕っぷしが強いわけでもなく、ポール・ニューマンに誘われた仕事に仕方なく協力するだけ。この映画の仕事自体もポール・ニューマンに誘われて、方向性も分からずになんとなくセリフをしゃべってるだけ。脚本は翌年に「地獄の逃避行」を発表するテレンス・マリック。あるシチュエーションがあって、ずっと何も起きないか、事態が悪化していくかというパターンの彼らしいストーリーが悪い方に出た感じ。ときおり、ラズロ・コヴァックスの撮影による美しい映像が入る程度で、何もかも上手くいかなかった二人が少しだけ紹介者や依頼主に反撃した後、スッカラカンのまま、駅でカッコよさげにたたずむショットで映画は終わりました。やはりスターはスターらしく振舞ってくれないと、と思わせる映画でございました。

Pocket Money (1972) - Opening Credits/Theme Song - Carole King#pocketmoney #paulnewman #leemarvin #caroleking #movies #moviescenes #openingcredits

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Pocket Money [Import anglais]

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