「長靴をはいた猫」(1969)

東映アニメの名作をAmazonプライムビデオでひさびさに観ました。

監督は矢吹公郎。予告編はコチラ。

ネズミを助けるという、猫にあるまじき犯罪行為で死刑宣告されて指名手配されたペロは、殺し屋の猫トリオに付きまとわれて命を狙われる日々。ブラブラと放浪していたある日、イジワルな兄二人に家を追い出されたピエールとたまたま仲良くなって、ヒトとネコの奇妙な二人旅が始まります。城下町に着くと、キレイなローザ姫が花婿募集中でした。裕福で力強い男を王子として迎えるということで、我こそはという花婿候補がお城にやって来ます。その中の1人で恐ろしい魔術を使う魔王ルシファがローザ姫の結婚相手はオレだと強引に話を決めて、数日後にオレの城に来いと国王とローザ姫に強要します。そんな状況は全く知らないピエールとペロ。ローザ姫に一目惚れした様子のピエールを見て、何かと機転が利くペロは、ピエール花婿化計画を実行します。

まず、"カラバ侯爵"という偽の貴族だという設定にして、国王にピエールの魅力をアピール。魔王ルシファなんてカンタンにやっつけますよとホラを吹きます。ピエールに引き合わされたローザ姫も優しそうなピエールに好意を持ちますが、正直者のピエールは、自分は貧乏な百姓のセガレなんだとローザ姫に告白。すると、デートの情報を嗅ぎつけたルシファがローザ姫をさらいに来ます。ピエールはローザ姫奪還を決意。単身でルシファの城に向かうと、ペロと(いつの間にかペロの子分となった)ネズミ一家も助っ人として後を追います。ただ、何にでも変身できる魔術を使えるわ、怪力だわで、ルシファに全く歯が立たたない御一行。しかし、愛と勇気と仲間と少しの知恵を武器にして、ピエールたちは宿敵ルシファをやっつけるのであった・・・というのが大まかなあらすじ。

劇場公開は1969年3月18日。東映まんがまつりの1本で、同時上映は「怪物くん砂魔人をやっつけろの巻怪物くんとハニワ怪神の巻」、「ひみつのアッコちゃんサーカス団がやってきた」、「チャコとケンちゃん」、「ひとりぼっち」の4作。ヨーロッパに古くから伝わる民話で、シャルル・ペローの著作を翻案した作品とのこと。大塚康生、小田部羊一、宮崎駿といったレジェンドが原画に参加してることで有名です。彼らが手掛けたというクライマックスの城でのアクションは、のちの「ルパン三世カリオストロの城」(1979)を彷彿とさせるカッコイイ構図でのサスペンスフルな動きで、アニメーションならではの醍醐味があります。ただ、久々と思ったら初見でした。どうやら、シリーズの別作品と勘違いしていたようです。

特に取り柄のないピエールに姫が惚れるのも、特別に悪どいことをしてない魔王ルシファ(小池朝雄の声なので悪人ぽい)を毛嫌いするのもちょっと疑問で、一番頑張ってるペロがお姫様と結婚すればいいのにと思いましたが、二人の結婚を見届けたペロは王国を去っていきます。ピエールを王子に迎えた王国はいずれ滅びそうな気がします。キャッチーな歌詞が乗った軽快な音楽と共に映画を愉快にしてるのは、盗みを生業としているネズミ一家の可愛らしさと、ネズミ以上にドジな殺し屋猫トリオの中でとびきりおっちょこちょいな1匹の猫。何を言ってるのかよく分からない水森亜土のアテレコがとてもキュート。ギャグ監修をしてる中原弓彦(小林信彦)がどうコミットしてるのかは不明。とにかく、いろんな技巧を駆使して、アニメに疎い私のようなおっさんも童心に返らせてくれるパワフルな良作でした。

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長靴をはいた猫

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