「濡れた人魚妻」(2021)

人魚なのかもしれない人妻が苦難に遭うフィリピン映画をU-NEXTで観ました。

監督はローレンス・ファハルド。予告編はコチラ。

フィリピンの小さな島で漁師をしているオベットが、海で溺れていた美しい娘(シンディ・ミランダ)を助けます。過去の記憶を全て無くしたという彼女を、噂話好きの住民たちは人魚ではないかと噂しています。古くから漁村に伝わる言い伝えでは、人魚は海での生活に孤独を感じると、陸に現れて恋人を探すとされていて、愛する人に裏切られたら相手を海に沈めるし、愛が実ったら足が生えて陸で暮らすようになるそうです。しかし、彼女が住み着くと、周辺には災難が降りかかるとされています。住民たちから"ネリーサ"と名づけられた女は、命を救ってくれたオベットと恋に落ちます。ヨソ者を受け付けない周りの住民も二人を祝福して、しばらくして結婚。ただ、彼女が来てから、村はずっと不漁続き。いやな予感がします。

オベットには美人の妹リレット(AJ・ラヴァル)がいて、村一番の金持ちの息子とプラトニックな関係にあります。一方で、村中の男と商売をしている娼婦もいて、リネーサはそんな両極端の二人と次第に仲良しになっていきます。働き者のオベットは、少しでも漁獲量を増やしたいがために、小さな船では危険とされていた遠方での漁を仲間二人を連れてチャレンジ。しかし、遭難に遭ってしまい、行方不明となります。村の男どもが三人は死んだと諦めるなかで、夫を救いたい一心のネリーサと親友二人が沿岸警備隊に直談判。ネリーサの美しさに惹かれたボス格の中尉は、救助活動をする代わりにカラダを要求。泣く泣く受け入れるネリーサ。島にはその事実がすぐに広まり、ネリーサは村民から淫売呼ばわりされます。やがて、夫オベットのみの生存が確認されて無事に戻ってきますが、ネリーサがカラダを許した事実を知って激怒。酔った勢いで友人に眠っているネリーサを襲わせるという暴挙に出ます。突然、漁師のおっさんたちに羽交い絞めにされるネリーサは抵抗むなしく。。。ネリーサは漁師共が油断したスキにその辺にあった刃物で襲った奴らを次々と惨殺。自分にケダモノを差し向けた夫もメッタ刺しに・・・というのが大まかなあらすじ。

原題も「Nerisa」。標的にされた女性の名前です。艶めかしい邦題と官能サスペンスという紹介文に釣られて観ました。サスペンス色はそれほどなく、エロくて残酷な寓話といった趣きの内容。エロが8割、閉鎖的な村社会で抑圧されている女性の現状への訴えが2割くらいの配分でしょうか。話はオベットの妹リレットのモノローグで進行。彼女の視点で漁村で起きた出来事を語っていきます。散々な目に遭ったネリーサが最後に怒りを爆発するまでは、胸糞悪い展開だらけ。惨劇に気づいた村民たちは、まったく非がないネリーサに怒りの矛先を向けて海辺まで追いつめますが、そのまま彼女が海に消えていくエンディング。彼女は人魚だったのかもしれないという雰囲気を残して、映画は終わります。

監督のローレンス・ファハルドは、不法入国したフィリピン人を描いた「インビジブル」(2015)、佐賀で陶器職人の修行をしているフィリピン人の恋物語「金継ぎ」(2020)という日本(九州)を舞台にした2本の映画、レズプレイありのエロドラマ「X-Deal」(2011-)シリーズなんかを作ってる人のようです。本作は、前者の異邦人モノと後者のエロティック物をミックスした感じなのかもしれません。ネリーサと娼婦だけでなく、あどけない少女にもエロティックな見せ場あり。謎の美女と娼婦と処女という三人の女性を魅力的に撮っています。特に、ネリーサとリレットの二人は美人です。また海に囲まれた島の景色も美女に負けないくらいの美しさがありました。いろいろ書きましたが、安っぽさを感じないシーサイドポルノ映画だったなという感想でございます。

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濡れた人魚妻

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