「O嬢の物語」(1975)

コリンヌ・クレリー主演のエロ映画をU-NEXTで観ました。初見。

監督はジュスト・ジャカン。予告編は見当たらず。

愛する人のためなら何でも言うことを聞きます状態のO嬢(コリンヌ・クレリー)が恋人のルネ(ウド・キア)にロワッシーの館に連れて来られます。館に向かう車中でパンティーを脱がされて、目隠しをして入った館内ではファッショナブルな服装に身を包んだ女性二人に導かれて、衣装替えをしたO嬢は全裸で皮手錠と首輪をはめられて、館にいるおっさん共の愛撫を受けて凌辱されます。ルネへの愛がホンモノであるかどうかを確かめるために、ルネの命令で他の男にいたぶられる試験に耐えられるかどうかという短期合宿を行っているようで、同じような境遇の女性たちとの共同生活が始まります。O嬢が他人としているところを見て快感を覚えるルネ。いろいろと歪んでいます。数週間後、見事試験にパスしたO嬢はルネと帰宅。おしゃれなアパルトマンに戻って新生活を開始。

しかし、O嬢の受験地獄は続きます。ルネは大富豪のステファン卿をO嬢に紹介。兄弟同然だという二人はお互いの所有物を共有するシステムになっているとのことで、O嬢はステファン卿の持ち物になってしまいます。ルネが身を引いてからはステファンに弄ばれていくものの、次第にステファンの命令でメチャクチャにされることに快感を覚えていくO嬢。ステファンが送り込んだアンヌ・マリーの館での別の強化合宿を終えて、合格の烙印をリアルに押された後、最後に待ち構えていた実地試験ではステファンの友人主催パーティーに全裸にマスク姿というファッションで参加する羞恥プレイを強要されますが、堂々とした態度を見せるO嬢。SM検定の免許皆伝となったO嬢は、ステファンに「今度は、私の試練に耐えられる?」と言いながら、ステファンの手の甲にタバコのパイプで"O"という烙印を押し返すのであった・・・というのが大まかなあらすじ。

ポーリーヌ・レアージュの同名ポルノ小説を「エマニエル夫人」のジュスト・ジャカン監督が映画化。従順な性奴隷になるために虎の穴みたいな場所での修行を経て達人になるカンフー映画のようなストーリー。原作ではもっとハードなプレイを強要されるようですが、おとなしめのムチ打ちがある程度で、ソフトフォーカスの映像でソフトなSMを描いています。男との絡みだけでなく、カメラマンが職業のO嬢がモデルのジャクリーヌと愛し合うようになるレズビアンプレイというサービスシーンもあり。脇を固めるキャストで知ってる人はというと、いまだに怪作、異色作への出演が多いウド・キアがO嬢の恋人役で出演している程度。愛してるはずなのに、ステファン卿にあっさり譲って途中退場します。IMDBトリビアによると、O嬢にはブリジット・フォッセー、ステファン卿にはクリストファー・リーやダーク・ボガードにもオファーがあったとか。たしかに、ステファン卿役の俳優さんに気品や風格が少し足りない気がします。

さまざまな場面で惜しげもなく肉体を披露するコリンヌ・クレリーを主演にしたのは大正解。当時25才で本作が実質的な映画デビュー作にも関わらず、すでに結婚、出産、離婚、再婚を経験しているからか、堂々とした貫禄あり。主役として最もキレイに撮られているという点はあるにせよ、劇中に出てくる沢山のハダカの中でも格が違うなと思わせる美しさがあります。映画史上のヌード番付があれば、西の小結くらいにはランクインするのではないでしょうか。コリンヌ・クレリーは72才になった現在もイタリアで女優活動を続けていらっしゃるようです。