「7BOX」(2012)

危ないブツを運ぶ羽目になった少年を描いたパラグアイ映画をU-NEXTで観ました。

監督はフアン・カルロス・マネグリアとタナ・シェムボリ。予告編はコチラ。

パラグアイの首都アスンシオンにある市場が舞台。スラム街にほど近い場所にあって、行商人や客でごった返す市場を手押し車で動き回って、買い物をした人の荷物運びを手伝う仕事で小銭を稼ぐ少年ビクトル(セルソ・フランコ)。地元の不良グループリーダーのネルソンも同じ職業のライバルで、客の奪い合いを日々展開中。ビクトルは同じスラム街育ちの女友だちリズといつもつるんでいて、姉は市場にある韓国人が経営するレストランの厨房で働いています。ある日、精肉店の店員から7つの箱を指定の場所に届けてほしいと頼まれたビクトル。報酬はなんと100ドル。欲しかったケータイ電話が買えます。さっそく手押し車にブツを載せて輸送開始。

箱の中身は絶対見るなと言われたので、ワケありのブツであることは了承済。しばらくして、高額の報酬案件をビクトルに奪われたネルソンが手下を連れて仕事を奪いに来ます。見つからないように隠れていた時についつい箱の中身を見たら、なんと●●ではありませんか。やがて、ビクトルの危険を察したリズも参入。ブツを巡る事件にはビクトルの姉の知人も絡んでいて、ウン10万ドルの金が動いていることも判明。で、ようやく事件を嗅ぎつけた警察も捜査を開始。最終的には、事件の主犯グループ、ビクトルの仲間たち、ネルソン一味、警察の四つ巴のバトルに発展していって・・・というのが大まかなあらすじ。

原題は「7 cajas」。そのまんま、7つの箱という意味。実際の市場(クアドロ4という場所)、スラム街、住人を使ったロケ撮影映像は臨場感あり。自動車が通れない狭い路地だらけの市場で重宝されている"手押し車"がキーアイテムの一つ。主人公もライバルも手押し車という目新しい面白アイテムを使っているのに、手押し車どうしでのチェイスシーンがなかったのは少し残念。もう一つのキーアイテムは"ケータイ電話"。まだスマホではありません。ブツを運ぶ連絡用のツールであり、ビクトルが欲しい商品でもあり、こちらのアイテムは物語上でいろいろと有効活用されています。少ない登場人物が7つの箱の事件に全員絡んでくる脚本はよく出来ています。

パラグアイには映画産業がほとんどなく、これまでに自国製作の映画は数十本しか作られていないそうです。そんな状況下で作られた本作は国内でもヒットを飛ばして、国際映画祭でも異例の評価を受けたようです。市場内のこじんまりとした迷路のような空間でたった1日の間に起きた出来事を小気味良いテンポでラストまでサスペンスフルに描き切った快作でした。有料配信してたので新作だと思ってポチッと押したら、10年前の映画でガッカリと思っていたところ、テレ東の午後ローやBSなどで放送されてるのをうっかり観てしまったらついつい最後まで魅入ってしまうタイプの面白さがあったので、過度な期待さえしなければ十分に楽しめる映画でございました。