「マフィア・マンマ」(2023)

 

アメリカ人のフツーのママが本場マフィアの後継者になってしまうコメディをNETFLIXで観ました。

 

 

監督はキャサリン・ハードウィック。予告編はコチラ

 

化粧品会社のマーケティング部門で働くクリスティン(トニ・コレット)大学に入学したばかりの一人息子を持つ普通のママ。ダメ夫の浮気現場自宅で目撃した最悪の日に、ある非通知着信がかかってきます。その後も数回着信があるので仕方なく出てみると、イタリアの弁護士から「亡くなった祖父の葬儀に出席してほしい」と言われます。生後すぐに母とアメリカに移住したため、久々のイタリアでリフレッシュでもしようと、夫に黙って旅立つことにしたクリスティン。ローマの空港でイケメンの中年に声をかけられて、さっそく連絡先を交換。その後、迎えの車で葬儀場所に向かうと、電話の主であるビアンカ(モニカ・ベルッチ)が待っていました。しかし、葬列の最中に何者かの襲撃を受けます。なんとかその場をしのいで祖父の邸宅に到着すると、生前の祖父が撮影した遺言メッセージを聞かされてビックリ。祖父は国内有数のマフィアであるバルバーノ家のドンでした。敵対するロマノ家にマフィアの会合で殺されたドンの一族で唯一の生き残りとなったクリスティンが正当な後継者だといきなり指名されて戸惑うばかり

 

ただ、ロマノ家との会談に参加さえしてくれれば、空港でナンパされた男とデートしてもいいと言われて渋々了承。ロマノ家のドン・カルロもイケメンで、会食後に誘われてウキウキのクリスティン。これは部屋でクリスティンを暗殺する作戦でしたが、毒を盛ったリキュールを偶然クリスティンがすり替えたことで、カルロが死んでしまいます。ってことで、両家の関係はさらに悪化。ナンパされたロレンツォの自宅でディナーを満喫した後、会社のリモート会議中にロマノ家の刺客に襲われるも、クリスティンが気合いで惨殺会社を辞めることにしたクリスティンはロレンツォ宅を再訪して、激しく燃え上がります。翌日、殺し屋が無残に殺されたロマノ家クリスティンに恐れをなして、休戦が成立。子分たちからも尊敬されることになったクリスティンは名実ともにバルバーノ家のドンになってしまいます。その後、一族の非合法ビジネスを合法化させて、ロレンツォとの恋も順調に発展。アメリカからやって来た夫も追い返します。となったところで、予想外の展開が待っていて・・・というのが大まかなあらすじ。

原題は「Mafia Mamma」。原作者が監督した映画に主演したことがあるトニ・コレットが製作にも参加。くだらないドタバタコメディとマフィアの抗争劇を融合させようとした試みは中途半端ですが、日々の生活に疲れた中年女性がひょんなキッカケで人生を見つめ直して新たな道を自力で切り開こうとする物語になっているのは非常に面白く、原作、監督、主演ともに女性であることが納得できる"おばさんエンパワームービー"でした。その点は劇中でもたびたび引用されていた「食べて、祈って、恋をして」(2010)とも似ています。主人公が仕事(殺し)と恋(不倫)に悩むバカバカしい設定もキライじゃありません。他には、「ゴッドファーザー」シリーズがマフィアの最低限の教養となっているジョークがところどころにあり。キナ臭い場面ではオレンジが画面に出てきます。あと、「アルマゲドン」(1998)パロディも唐突に起こります。欲をいえば、義足であること以外に人物像が薄めだったモニカ・ベルッチお色気トニ・コレットとのバディ感がもっとあると嬉しかったかも。