「バッドランド・ハンターズ」(2024)

 

マブリー無双のディストピア・サバイバルアクションをNETFLIXで観ました。

 

 

監督はホ・ミョンヘン。予告編はコチラ

 

白衣の男(イ・ヒジュン)が研究室へ突入した武装した軍隊に囲まれて絶体絶命。何らかのイケナイ実験をしている人らしく、瀕死の娘を助けようとしている様子。トドメを刺されそうになった時、大地震が起きて建物が崩壊していきます。それから3年後。荒廃したソウル。若い青年ジワン(イ・ジュニョン)が食糧確保のワニを狩猟中に反撃されていたところ、ナタでワニの首を一刀両断にするごっつい男が登場。ご存じマ・ドンソクです。マ・ドンソク演じるナムサンとジワンは、狩猟した獲物を生き延びた人たちのマーケットで物々交換して生きています。病弱の祖母と暮らすスナ(ノ・ジョンウィ)も同じコミュニティの住民。ナムサンはスナの命の恩人らしく、ジワンはスナに惚れています。震災後の世界は、不足している水が何よりも貴重な資源ですが、別のコミュニティからやって来た暴徒集団から、水が豊富にあるというマンションの存在を耳にする住民たち。

 

ある日、スナの元にかつての学校の先生だったキム(チャン・ヨンナム)が訪れます。10代の子を優先して保護する安全な場所があり、祖母と一緒に移住しないかと勧誘されたスナ。ナムサンたちにも勧められて移住を決意するも、それが間違いの始まりでした。安全な土地へ向かう途中で引き離された祖母はキムと同行した男たちに惨殺されます。その事実を知らずに一足先に着いたマンションで祖母を待つスナ。一方、外で狩猟中に祖母の惨殺現場に遭遇したナムサンとジワン。格闘している男たちがゾンビ化していて、何度死んでも蘇ります。そこに助っ人に現れた女性(アン・ジヘ)と一緒に何とか退治することに成功。スナが移住したマンションでは冒頭に出てきた研究者が支配者となっていて、人間を蘇生させる技術を完成させるために若い人間人体実験に利用されていることを助っ人女性から聞いたナムサンたちは、スナを救うべくマンションに向かうのであったが・・・というのが大まかなあらすじ。
 

原題は「황야」。"荒野"という意味。英題は「Badland Hunters」。未見のディザスター・パニック映画「コンクリート・ユートピア」(2023)の続編設定とのこと。いつだって無双のマ・ドンソクの強さは本作でも健在。震災があっても当然生き延びていて、小さなコミュニティで頼れるおじさんとして暮らしていたところ、家族同然の付き合いをしているスナちゃんが攫われます。悪党の内情を知る女兵士にも懇願されて、武装化されたマンション強行突破してからは、ピンチに陥る状況を作ることなく、マ・ドンソクのワンマンショーが続きます。素手やはもちろんのこと、銃を手にしたマ・ドンソクに立ち向かえる者などなく、ケバいおばさん(チョン・ヨンジュ)に言い寄られてたじろいだり、盛り上がりすぎた筋肉で背中の刀に手が届かなかったり、細かいユーモアを織り交ぜながら、を斬らないと死なないゾンビが敵であろうとも余裕でなぎ倒します。ナムサンが実子を失った設定やジワンがスナちゃんに恋してる設定などは刺身のつま程度で、ストーリーにはほぼ関係なく、マブリーが知り合いを助けに行くという大筋を一直線に進んでいく潔い展開。

 

マ・ドンソク以外では、子役から活躍しているというノ・ジョンウィがとにかくキュートです。研究者餌食になる寸前に助けが来る定番の流れ。すでに沢山の若者の命が失われているにもかかわらず、彼女さえ助かればハッピーエンドになった気にさせてくれます。そもそもこの娘がいなかったら、マ・ドンソクは助けに行っていません。それと、女兵士役のアン・ジヘ接近戦アクションスタントもなかなかのキレ味。すでに「スレイト」(2020)で本格アクションを披露しているらしいです。教祖的存在の研究者を演じるイ・ヒジュンには一人娘を延命させたいという切実な親心があるがゆえに、他人の命を実験台で消費する冷酷さを発揮。狂った行為とはいえ、人間味ある醜さを見せる狂信者をみっともなく好演してます。あとは、暴徒集団のボス役のおじさんがサブキャラとして面白かったので、終盤の戦いに参戦してもらいたかったかなといったぐらい。既視感たっぷりの内容ですが、マ・ドンソク定食としての美味しさは確実に保証できる映画でございました。