雨降って、地固まってほしい
「もっとさあ、自立しようよ。拘束されると、かえって逃げたくなっちゃうよ。わかるでしょう?」
「わかるんだけど」
電気を消した部屋で、ベッドに二人で横になって話していた。
食事に行った後、「じゃあ、私はこっちの地下鉄で」と自分の家に帰ろうとしたら、「来ないのー?」と不満げであった。
「実は今日は生理だから」とおずおずと打ち明けると、「何? 僕とは体だけが目的なの?」と笑って言い、「あー、断られる気持ちがわかった。もうキャンセルしないよ」とつけたした。
結局オスカーの家に行くことにした。
「以前なら、週末に会わないことくらい、大したことなかったと思う。
でも・・・
フロリダから帰ってきた後にオスカーが下した決断は、私にとって実はかなりショックだったんだ。
あれ以来、すっかり自信がなくなっちゃった」
「えー、自信なくさないで」
砂みたいだと思う。
強くにぎればにぎるほど、手の中の砂は落ちてしまう。
でも、どうにもコントロールができない。
失いたくないという気持ちで、ついまた強くにぎってしまう。
そしてこぼれ落ちる砂を見ては、自己嫌悪に陥る。
覆水盆に返らずか、雨降って地固まるとなるか。