ーーー風って、どうやって吹くのかな。
LINEの返信ひとつにしたって、会話続いてるけどこんなに送ったらめんどくさっウザッて思われてるんじゃないかとか、考えちゃう。
そんな風に思わせてくれる本。
源哉や歩実が生まれるずっと前。
ーーー最初に、何があるんだろ。
西取川の河原に、強い風が吹いた。
(中略)
そのことによって、当時、気持ちを通わせていた歩実の母親と源哉の父は離ればなれになり、それぞれ別の町で暮らしはじめた。だから、歩実と源哉が生まれ、いまここにいる。ずっと前に吹いた風が、たくさんの哀しい出来事を引き起こした。でも、それらの出来事がなければ源哉や歩実はこの世に生まれてこなかった。
エレベーターを待ちながら、まるで広がっていた靄が一箇所に集まるように、いつのまにか源哉の頭に一つの疑問が浮かんでいた。自分たちは、生まれてきてよかったのだろうか。自分や歩実が生まれてこなかった世界の方が、幸せな人が多かったのではないか。意味のない疑問だと、もちろんわかっていた。でもそれを、源哉は口にせずにはいられなかった。
「そんなの、わかんないよ」
エレベーターの扉に話しかけるように、歩実は言葉を返した。
「いま、あたしたちがここにいるんだから、しょうがないよ」
激しい烈情はない。
今までの道尾秀介さんの作品からそれを期待した部分は大いにある。
予想とは違った。
だが期待を裏切らない。
読んだあと、
この物語を読んで本当によかったなぁ
って思える。
この本の存在を知れてよかった
出会えてよかった
またひとつわたしの感情を豊かにしてくれてありがとう。
くよくよする時もある。
好かれたいと思う人にしてしまったあの発言、どう取られたらだろう。変なふうに捉えて嫌な気持ちにさせてたりしないかな、とか。
「いや、うちがこれ以上頑張るのは違うでしょ」って、あえてやらなかった仕事でさえ、後から大変な思いさせちゃったんじゃないかな、「クソがやってけよ!」って思われてたらどうしようとか。
(まぁどうもせんのだけどww)
LINEの返信ひとつにしたって、会話続いてるけどこんなに送ったらめんどくさっウザッて思われてるんじゃないかとか、考えちゃう。
考えたとこでわかんないんだけど。
日々自分の言動ひとつで惑って、
考えなくてもいいこと考える。
ならそれ以上に考えてもいないところでいろいろなことが起こって、めぐりめぐって現在に、そして未来に影響を与えてるのなんて当然だ。
過去のわたしが選んだことが今のわたしを形作ってるなら
今のわたしが選ぶことが未来のわたしを作っていくなら、
ひとつひとつ納得いくものを選びたい。
そしてそれがわたしの大切な人たちの幸せを形づくっていくんだろう。
そんな風に思わせてくれる本。

