ガチャポンの欠片。 | さて、行くか。

ガチャポンの欠片。

いつもの家の景色に違和感を感じながら二階の自分の部屋にいた。


隣りの部屋では僕と同じ年ぐらいの暗い印象の男二人が兄弟のように寝ている。


誰かは分からないけど、多分彼らは僕の兄弟なんだろう。


下では僕より少し年下な女の人と同い年ぐらいの女の人、少し年上な感じの女の人、それに中年の男が寝ている。


彼女たちは僕の姉妹で中年の男は僕の父だ。






一人で床に就く僕は、寂しさを覚えながらも慣れた感じだった。


朝、夢うつつの僕の耳に階段から騒がしげな足音が聞こえてくる。


騒がしげに次女がどたばたと1階2階を行き来しながら長女に喋りかけていた。


台所では、長女と三女が朝ご飯の用意をしていた。


長女が野菜をまな板の上で切りながら次女に僕を起こすようにお願いした。


すると、僕の部屋のドアが開いて次女が僕の名前を叫ぶ。


まだ少し眠い僕は次女を無視して狸寝入りを決め込んだ。


彼女は布団越しに僕を手の平一杯に叩いて無理やり起こそうとする。


それでも起きない僕に彼女は布団をとって脇をくすぐってきた。


僕がたまらず起きると次女が「早く起きろバカ」と男勝りな笑顔で言ってきた。


僕にとっては毎朝起こしに来る次女を少し疎ましく感じながらも


彼女という喧騒に安堵させられている気がしていた。






朝ご飯を妹、僕、次女、姉、父で食べていた。


僕の兄弟らしき男たちは降りてこない。


これもいつものことだ。


ご飯を食べ終わって父が仕事に出かける。


みんなの母親代わりの姉が父に弁当を渡す。


弁当を受け取った父が出かけていくと、二階から次女が上着をだらしなく着ながらすごい勢いで階段を降りてきた。


次女は姉に叱られながらも父のとは違うランチボックスを受け取り、駆け足で仕事に出て行った。






妹も学校に行ったので、家には部屋に閉じこもりきりの僕の兄弟らしき男たちと、僕と、姉だけが残された。


僕は何をするわけでもなく自分の部屋で本を読んだりしていた。


隣りでも僕の兄弟らしき男たちが何かをしているみたいだったが、何をしているか分からないし特に興味もなかった。


下では姉が僕と同じく本を読んでいたりお菓子を作ったりしていた。


お昼を姉と食べ、午後も僕は下で同じようなコトをしていた。





夕方になり妹が帰ってきて、二階に上がっていった。


すると姉も二階に上がって行く。


僕は下で一人になりテレビを見ていると、父が帰ってきた。


着替えた後、僕と一緒にテレビをみていた。


いつも陽気でやかましい父が今日は珍しく無言でブラウン管を眺めていた。






しばらくすると父が不意にテレビを消した。


僕が不思議そうな顔で見ていると


少し大きめの果物ナイフを取り出して、僕に刃を向けてきた。


困惑する僕、しかし父はためらう事なく僕の胸の辺りを刺そうとしてきた。


僕は事態が把握できなかったが、ナイフをよけナイフを持つ父の手を押さえた。


父は激しく息切れしながら自分の手を押さえている僕の手を振り払おうとしている。


力比べの末、父を吹き飛ばして僕はナイフを奪うことができた。


僕はガクガクと震える手で自分の身を守ろうと父にナイフを向けた。


父は仰向けになってはいるが、隙あらば今にもナイフを奪ってまた僕を刺そうという形相だった。


僕はどうしたらいいのか分からずただただ父にナイフを向けていた。


すると玄関が開き次女が帰ってきた。





次女は部屋に入ってきて僕と父の姿をみて、少し止まった後、意を決したかのようにバッグから刃がぼろぼろの果物ナイフを取り出し僕に向かってきた。


僕は咄嗟に持っていたナイフを父からは遠くの場所に投げ、次女の手をつかんだ。


次女もまた激しく息切れしながら僕の手を振り払おうとしてきた。


僕は涙があふれそうになりながらも彼女からナイフを奪い、彼女を父と同じ方向に突き飛ばした。


二人にナイフを向ける僕に二人は何かに落胆したような感じだったが、僕の隙を狙っている感じだった。


僕はなぜこんなコトをしようとしたのか理由を聞こうとしたが口がまわらずうまく喋れない。


こんな状態が小1時間程たった。


僕は当惑の中、「自分の身を守らなきゃ」という思いでまだ二人にナイフを向けていた。


二人もまた、僕をずっと見ている。


不意に僕の緊張の糸が一瞬切れてしまった。


その瞬間、父がナイフを取ろうと僕に躍り懸かってきた。


僕はナイフを取られそうになったが、なんとか父をはじき返せた。


このままでは殺されると思った僕は携帯を右のポケットから取り出し警察を呼ぼうとした。


手が震えていて上手く番号が押せなかったがなんとか押すことができ警察を呼ぶ。





警察を待っている間、二人からは自分たちに対する失望と何かに対して憎悪するかのような感じが見て取れた。


10分ほど待っていると警察が家に着いた。


警察官二人が来て父と次女を連れて行く。


二人はおとなしく警察官に従っていた。


パトカーに連れて行かれる時、遠目で見ていた僕には父と次女が僕に謝っているような顔に見えた気がした。


騒ぎに気づいたのか姉と妹が二階から降りてきた。


警察官が事情を話すと、彼女たちはひどく驚いていた。


父と次女が連れて行かれて10分ほど経った。


姉と妹は台所でお皿を洗っていた。


父と次女にナイフを向けられた部屋に僕はいた。


僕の目線の先では、僕が父を壁際に追い詰めているときに父が足の裏で踏んだガチャポンの入れ物が割れてその欠片が散乱していた。


僕がその欠片を集めて台所に向かう。


無言で皿を洗っている姉と妹の間を抜けゴミ箱にその欠片を捨てた瞬間、僕の目じりから涙が止めどなく流れ出した。


姉たちは悲しそうな顔をしているが、終始無言で皿を洗っていた。


声が抑えきれなった僕は二階の僕の部屋に向かう。


階段で僕の兄弟らしき男たちが無表情で僕の横を通り過ぎた。









                  








・・・・・・・・という夢を見ました(;´Д`)ウウッ


いやぁなんとも言えない夢だった・・・


起きたら僕は泣いてました(;´Д`A ```


・・・病んでるなぁ(ノ_-;)ハア…