月曜日

 

午前中、重い体と気持ちを奮い立たせて

クリニックに行く支度をしていると

郵便局から連絡が来た。

金曜日に海外発送した荷物について

差し戻されてきたので確認に来てほしいとのこと。

 

今日は少し動くだけでかなりしんどい

 

頭痛は治まったいるけれど体のあちこちに痛みがあり、

背中から肩、首にかけての痛みがひどい。

頭痛があったときにどこかに力が入って

おかしな体勢にでもなっていたのだろうか。

 

差し戻された荷物を確認するのに

どれくらい時間がかかるかわからないし

クリニックの予約時間に間に合わないと困る。

郵便局には明日行くことを伝えて

クリニックに行く支度を進める。

 

病は気から。

クリニックに行って

体に異常がないことの太鼓判を押してもらえば

自分で納得して体調不良を吹き飛ばせるはず。

 

客観的に見て異常がないことを突きつけられれば

甘えた考えも見苦しい言い訳でしかないことを認識できるはず。

 

今日はメンヘラな自分を断ち切るための

客観的評価をしてもらうことに集中しよう。

そう自分に言い聞かせてクリニックへ向かう。

 

 

診察

 

午後のクリニックの待合室は閑散としていた。

予約制で混雑しないように調整されているんだろうか。

間隔を開けて座っても余裕で20名は座れるであろうソファには

会計待ちをしているらしいスーツ姿の男性が一人だけ。

 

ほぼ待ち時間なく呼ばれて入った診察室は

窓から入る日の光で明るく

これぞ町の診療所。といった風な温かみのある空気があった。

 

ここ数日間の体調について

覚えている限りのことを時系列を追って話す。

 

診察してくれているのはとても穏やかな雰囲気の

年配の男性医師で

途中で質問したり

話を遮ったりすることなく

時々うなずいたりメモを取ったりしながら

私の話を親身になって聞いてくれる。

 

問診、触診、採血、運動機能の確認。

 

運動機能には問題がない。

会話も問題なくできている。

脳の障害である可能性は低いとの見解。

 

血液検査の結果を待って

心臓、腎臓、または肝臓に異常がないかを判断するとのこと。

 

明日、血液検査の結果を聞きに来るよう言われ

診察室を後にした。

 

クリニックからの帰り道。

来るときはタクシーを利用したが

家からさほど遠くもなかったため

歩いて帰ることにした。

 

久々の外出でちょっとした散歩。

夕方の涼しい風が心地よかった。

 

いつもと同じ速度で歩くと

心拍数が一気に上がりそうだったので

ゆっくりゆっくり

歩行訓練中かな?

位のゆっくりした速度で歩く。

 

それでも途中で休憩を挟まなければ苦しかった。

こんな風に姉に付き添ってもらったり

会話をしたりするのも久々だから

もうちょっと姉に甘えたいんだろうな。きっと。

だから帰宅する時間を引き延ばしているんだろうな。

 

私、だいぶ精神的に参ってたんだな。

 

生活時間が合わないからと言って

ずっと顔を合わせないでいるのは健全じゃないのかも。

これからは自分から進んで会話とか試みたほうがいいのかも。

 

ゆっくりゆっくり

姉は歩調を合わせてくれて

ゆっくりゆっくり

家にたどり着いた。

 

夕食を軽めに済ませて

早めに就寝。

 

そういえば明日

血液検査の結果を聞きに来るように言われたけれど

何時に行けばいいのかを聞きそびれた。

 

まあ、今日と同じくらいの午後の時間に行けばいいか。

郵便局にもいかなくちゃいけないし。

 

仕事も1週間休む連絡をしたし

明日の予定も決まっているし

体に異常はないと医師も言っていたし。

 

明後日から約1週間

何もしないでゆっくり休んで

リフレッシュして仕事を再開しよう。

 

気持ち如何でここまで体調悪くできるなんて

人の精神力ってのはなんでもコントロールできてしまうんだな。

 

 

火曜日

 

遠くでスマホが鳴ってる。

かなりしつこい。

 

時計は9時少し前を指している。

今日は誰からも監視管理されることなく

起きる時間を自由に決められるはずなのに。

 

スマホを手に取ると姉からのLINE通話。

 

出てみると

昨日受診したクリニックから

緊急連絡が入ったとのこと。

 

血液検査で異常値が発見されたため

10時までにクリニックに来てほしい。

そんな連絡があったらしい。

 

今日の午前中は郵便局に行く予定をしていたのに。

 

渋々起き上がり

身支度を整える。

 

サクッと結果を聞いて

サクッと帰ってくれば

午前中に郵便局に行けるだろう。

 

昨日行っておかなかったことを

少しだけ後悔したけれど

いまさら遅い。

 

サクッと結果を聞いて

サクッと帰って来よう。

 

 

 

検査結果

 

血液検査の異常値は貧血

ヘモグロビンの数値が異常に低い

正常範囲とされるヘモグロビンの値は11.3~15.2。

その半分にも満たない数値が

検査結果表には表示されていた。

 

他の検査結果も軒並み低く

血小板数だけが異常に高い。

 

これには心当たりがあった

 

出血が3週間ほど続いてる。

いわゆる過経血というものに該当する。

今までこんなことはなかったから

気になってはいたものの

重要なこととして気にしてはいなかった。

 

というのも、以前ゴールを迎えた先輩から

ゴール直前に「祭り」がやってくる。

という話を聞いたことがある。

 

そうか。

私にも「祭り」の季節がやってきたのだな。

年齢的に少し早い気もしなくはないが

そういうお年頃なのだろう。

そんな程度にしか思っていなかった。

 

そもそも経血とは

不要になった子宮内膜が剥がれ落ちて

体外に排出されるもの。

 

受精卵のために用意された血液のベッドが

使用期限を過ぎたために

総入れ替えする。

新しいベッドを用意するために

まず古くなったベッドを片付ける。

そのための儀式が月経。

 

月経による出血は

体の生命を脅かすようなものではない。

そう思っていた。

 

最近、食事を疎かにしていた。

そろそろ栄養バランス考えて

食事しないといけないってことなのかな。

ぼんやりとそんなことを考えている私の前で

医師と看護師が受け入れ先の病院を探している。

 

病院への交通手段を聞かれたので

タクシーで行くと回答した後

病院の決定と紹介状の作成が済むまで

待合室にいるよう指示が出た。