2012年3月20日、読売新聞への投書


東京都東久留米市の獣医師の先生の実名での投書です。



私は動物病院を経営している。先日、犬の飼い主から、以前通っていた動物病院の領収書を見せられ、驚いた。会陰ヘルニアの手術代が「20万円」とあったからだ。通常は5万円ほどでできる手術だ。


ペットの医療には、人間のような公的医療保険制度がなく、自由診療になっている。診療や手術の費用は、獣医師や動物病院がそれぞれ決めている。


法外な医療費の領収書を見ると、病院が収入を増やすため、わざと高い値段を飼い主に請求しているように思えてならない。


私の病院に、飼い主から未収の医療費の回収を代行するという業者から案内の手紙が来る。このようなビジネスがあるのは、ペットの医療費の高額請求が日常的に行われ、それに納得できない飼い主が払わない事例が多いからだろう。


獣医師には、飼い主の立場にたって、物言わぬペットの治療に当たる姿勢が求められる。安易な商業主義に走ることは、厳に慎まなければならない。