デューク 江國香織「デューク」 江國香織著 山本容子画 講談社刊 歩きながら、私は涙がとまらなかった。二十一にもなった女が、びょおびょお泣きながら歩いているのだから、他の人たちがいぶかしげに私を見たのも、無理のないことだった。それでも、私は泣きやむことができなかった。 デュークが死んだ。 私のデュークが死んでしまった。 私は悲しみでいっぱいだった。