2008年10月13日

「人獣共通感染症(人畜共通感染症) イヌブルセラ症の感染確認」 発表


株式会社ジャネットは、ジャネット村2店舗にて人獣共通感染症(人畜共通感染症)であるイヌブルセラ症の感染が確認されたことを発表。全てのサービスを停止すると発表した。


人獣共通感染症(人畜共通感染症)であるブルセラ症の感染が確認されたのは、ジャネット村五反田店と浦安店の2店舗。


当該店舗で飼育されていた犬59頭の内、陽性18頭、擬陽性38頭、陰性3頭という検査結果が出た。


同社は、2008年9月上旬に交配相手の流産と共にブルセラ症の疑いがあるとの報告を受けたことをきっかけに検査を開始。


交配犬と一緒にいた犬及び一緒に育った犬たちを隔離した上で検査を行った結果、擬陽性と出たため、五反田店の全頭検査を実施すると共に同店を閉鎖した。


その後、10月1日に浦安店全頭の検査結果が判明し、関連機関に連絡及びHPでの告知後、10月3日に両店舗を閉鎖。同日中に東京都動物愛護センターと市川保健所による立ち入り検査を受けた。


両店舗ではドッグレンタルサービスやホテル、ドッグラン、ドッグカフェ等のサービスを展開していたことから、感染は両店舗にて飼育されていたレンタル犬にとどまらず、同店を訪れた犬や飼い主などもブルセラ症に感染する可能性がある。そのため、飼い犬や飼い主全員に検査を受けてもらえるように呼びかけている。


また同店では、飼育していた犬の譲渡先を募集。わんこ譲渡専用メールアドレスを設け、問い合せを受け付けている。


「人獣共通感染症(人畜共通感染症) イヌブルセラ症の感染確認 」
検査結果: 陰性 3頭  擬陽性38頭  陽性18頭


犬のブルセラ症


犬のブルセラ症は、B.canis(ブルセラ・キャニス)という細菌によって感染する犬の慢性感染病です。


全国的な犬の感染率は、2~3%と推定されていますが、ブリーダーやレンタルドッグサービス、ふれあいコーナーなど、犬を多頭飼育している施設では、急速に感染が拡大します。


犬のブルセラ症の細菌、B.canisは、ヤギ・ひつじ(B.melitensis)、ぶた(B.suis)、うし(B.abortus)などに比べると、病原性は最も弱いと言われています。


犬の場合、ブルセラ症は、犬どうしの接触=経口と交尾(精液、尿、流産胎仔、悪露、子宮分泌物)が感染源となります。


散歩などの日常的な軽い接触で感染することはないとされていますが、ある程度の時間、犬どうしを一緒に遊ばせているような場合には、感染する可能性が高くなることは考えられます。


ブルセラ症に罹患した犬には、目に見えるような症状はほとんどありませんが、雄犬では精巣炎、雌犬では死産や流産、子宮内膜炎といった症状が出ます。


犬の治療は、抗生物質を長期間投与するものですが、投薬を中止すると、隠れていた細菌が再び現われて、再発するので、完治できないと言われます。


犬から人にも感染しますが、国内での人の感染報告は少なく、1999年以降では5件だけです。感染しても、重症になることはまれで、発熱や関節痛など、風邪のような症状を呈します。ブルセラ症に感染した場合には、2種類の抗生物質「リファンピシン」と「ドキシサイクリン」を6週間投与するのが、一般的な治療法とされています。


イヌブルセラ症は、犬にとって、死に至るような感染症ではありませんが、治療の結果、快癒したとしても、将来、再発するかもしれないということになると、ドッグシェルターのように多頭数の犬を保護している施設では、他の犬たちへの感染の可能性も否定できないので、罹患した犬たちの引き取りはむずかしいのではないかという意見もあります。


それほど重篤な状態にはならないとは言っても、人に感染する人畜共通感染症ですから、徹底した衛生管理が可能な隔離施設での保護が必要になると思われます。しかし、その維持経費は、決して少ない金額ではありませんから、それをどう捻出するのかということもむずかしい課題です。


「感染を拡大させないための注意点」


流産した胎仔や悪露などに素手でふれない。すぐ隔離して、それらが付着した箇所を、消毒用エタノール、両性界面活性剤、次亜塩素酸ナトリウムなどで消毒する。


犬の尿などの汚物は、ゴム手袋などを使って処理する。


犬と接触した後は、石鹸などでの手洗いを実施する。