ドッグフードには、カリカリのドライフードと缶詰などのウェットフードがありますが、一般的にはドッグフード=ドライフードと認識されているようです。
ドライフードは、ペレットと呼ばれる粒々の形状をしていますが、そもそもは家畜用の配合飼料を作る技術をペットにも応用したものです。ドライフードは、器にフードを入れるだけですむ簡便性が特徴ですから、典型的な「ファースト・フード」と言えます。
もちろん、ビタミンやミネラルなどの微量栄養素まで含んだ、バランスのとれた総合栄養食と呼ばれるものですから、感染症の予防ワクチンの接種とともに、ワンの寿命を延ばすことに貢献してきたのは、まちがいないことでしょう。
それに対して、手作り食は「スロー・フード」です。
人間の食でも、利便性=ファーストに対して、ゆっくり=スローと誤解されていますが、スロー・フードは、「ゆっくり」という意味ではなく、その土地で収穫されたものをその土地ならではの調理法で食べましょうという「地産地消」から来ているものです。
歴史的には、日本では、仏教による肉食禁忌の影響と、四方を海に囲まれている島国ということもあって、魚を食べる食習慣が長く続いてきました。
そのため、ワンも魚を食べてきたので、柴犬などの日本犬は魚にたくさん含まれているDHAやEPAを多く要求する体質になったために、ドッグフードではそれらの栄養素が不足してしまいがちで、老犬になってから痴呆症=ボケになりやすいという説も唱えられています。ちなみに、DHAには、痴呆症の進行を抑える効果が認められています。
手作り食には、デメリットもあると指摘されています。タンパク質が過剰になりがちで、カロリーが低くなる、そして、微量栄養素が不足する傾向があるというものです。そこで、手作り食を与えていく場合には、それらに注意しなければなりません。
2.タンパク質、脂質、炭水化物の栄養バランスを整える
3.ビタミンやミネラルなどの微量栄養素を補給する
また、手作り食には、「加熱調理して与える」方法と「生のままで与える」方法があります。
加熱すれば、食材の細菌を殺菌できるので、安心ですが、食材に含まれる天然の酵素(食物の消化を助ける物質)が破壊されてしまう、あるいは、熱に弱いビタミンAやビタミンCなどを壊してしまうというデメリットが挙げられます。
生のままで与えれば、食材に含まれている天然の酵素をそのまま利用できて消化吸収率が上がる、また、ビタミンなどが壊れずに、そのまま体内に摂取できますが、細菌の侵入や寄生虫の感染というリスクが伴います。
生肉を食べさせるとおなかがゆるくなるのではと心配する人もいますが、犬の胃酸はとても強く、生肉の消化吸収率も高いので、それでおなかを壊すということはないと言われています。
ただし、いきなり生肉を与えると腸内の微生物バランスが適合できずに、下痢や嘔吐をすることもあるので、調理した状態から、徐々に生肉に移行することが勧められます。
その食餌がワンに合っているかどうかは、被毛の艶、皮膚の状態、体臭、そして、うんちの量と状態などで、判断できます。そして、1ヶ月程度をかけて試してみるべきだとも言われます。
手作り食の場合には、植物性のオイルを添加することも大切です。