(51)なぜイヌと呼ばれるようになったのか?
イヌの学名は、カニス・ファミリアス (Canis familiaris)。カニスは、ラテン語で、「イヌ」という意味の他に、「恥知らず」とか「追従者」といった意味も持っています。ファミリアスは、「よく慣らされた」という意味です。
ヨーロッパでは、DOG=イヌという言葉が、「悪者」とか「いじわるな」といった、好ましくないものを表すときに使われることがあります。
それは、DOGが、GOD=神という言葉を逆に綴った言葉だからと言われています。
Dog in the manger は、「意地悪な人」という意味です。
イソップ物語で、犬がまぐさ桶の中に横たわって吠えて、牛にエサを食べさせなかったという寓話から産まれた慣用句です。
Go to the dogs は、「落ちぶれる」という意味です。
博打などで破産したときに使われる表現です。
日本語の「イヌ」という呼び方には、魔よけの意味があると言われています。イヌ=行き畢る(いきぬる)で、「もののけが立ち去る」という意味があると言うものです。
イヌは、もののけを退け、魔を避けると考えられきたので、今でも、赤ん坊の額に犬の字を書いたり、そばに犬箱、犬張子などを置いて、魔除けとする風習が残っている地方もあります。
子どもを寝かしつけるときに、「インノコ、インノコ」と呪文を唱えると、寝つくとも言われています。
「日本釈名」という古書には、イヌ=居ぬる(いぬる)ではないかとされる記述があります。
「犬、居ぬるなり。主人になつきて、離れぬものなり。故に、よそに引き寄せて、良き食を与えても、元の主人のところに居ぬるなり。久しくつないでおけば、その主人になつきて、帰らなくなる。」
(参考資料)
「動物名の由来」 中村浩著 東京書籍刊