(43)犬を助けた犬
米国のニューヨークに住んでいるエルドン・ビスビーは、吹雪の中で、愛犬のプードルとはぐれてしまいました。何時間も探しまわりましたが、ついに見つけることができず、悲嘆にくれながら、帰宅しました。
眠れない夜を過ごしていたエルドンは、午前3時ごろ、玄関の呼び鈴が鳴る音に、心臓が縮み上がるほどびっくりしました。
玄関に出ると、タクシーの運転手が立っていました。そして、彼は、「お宅では、プードルを飼っていないかい?」と聞いたのです。
エルドンがタクシーを見ると、愛犬のプードルが乗せられていました。タクシーの運転手は、プードルの首輪につけておいた住所を探して、家まで連れてきてくれたのです。
エルドンが愛犬との再会を喜んでいると、運転手は、ことのいきさつを話し始めました。
彼が吹雪の中、タクシーを走らせていると、車の前にシェパードが飛び出してきて、立ちはだかったのです。
ホーンを鳴らして脅しても、犬が動こうとしないので、車の窓を開けると、その犬は近づいてきて、何かを言いたげに鼻をならし、それから、雪の中を少し走っては足を止めて振り返るといった、訴えるようなしぐさを繰り返しました。
犬には詳しくない運転手も、何となく気になって、車から降り、シェパードの後をついていくと、雪の吹きだまりに、動けなくなったプードルがうずくまっているのを見つけたのです。どうやら、そのプードルは、除雪車にはねられて、ケガをしてしまったようでした。
その後、名も知らぬシェパードに助けられたプードルは、手厚い看病を受けて、元気になりました。
(参考図書)
「地上の天使たち」 ステファニー・ラランド著 原書房刊